第1028話 ■ライバルの差

 漫画の世界のライバルというのは結構分かり易い。矢吹丈に対する力石徹、星飛雄馬に対する花形満、左門豊作、ついでに伴宙太。力関係が均衡しているから緊張感もある。しかし、現実の世界でのライバルというのは実力の差が歴然と存在していたりする場合が多い。目標とかターゲットとの使い分けが十分に出来ていないのか、はたまた自分の力を過大評価しているのか?。

 ずいぶん昔の話になるが、トヨタが「ソアラ」を出した際、日産は「レパード」を出した。対抗車、ライバル車ということになるが、勝負になるはずもなく、レパードは1回モデルチェンジをしたが、それ以降あっさり消えてしまった。一方、後から出た方が勝った例として、「サニー」と「カローラ」というのがあるが、ここでもやはりトヨタが勝っている。いずれも実力が均衡していたライバル関係とは言い難い。

 かつて松田聖子がデビューした当時、河合奈保子がライバルと目された。確かに山口百恵引退後の女性アイドルとしてはトップが松田聖子で、その次となると河合奈保子であったのは間違いなかったが、聖子のぶっちぎりで、話題性においても実力においてもこの二人は全くつりあうものでなかった。同様に現実社会の中ではライバルとして均衡している両者の例を見つけるのが困難なぐらいだ。

 同じカテゴリーにある複数のものを組み合わせて、ライバルという言い方自体が甚だ乱暴なのかもしれない。ただ、このライバルという言葉で片付けてしまいがちな、それぞれの差が何であるかは結構微妙である。はっきりと言い表せなかったりする。単なる好き嫌いだったりするかも。そもそもはほんのわずかの差が勢いづいて決定的な差となっただけかもしれない。

 例えば同じテレビ司会業で年齢も近そうな、みのもんたと愛川欽也のそもそもの差は何だろうか?。露出度や実績においてその差は大きいが、視聴率が取れるかどうかを取り除けば、単なる司会進行なら愛川もそつなくこなしそうだ。そこで考えた。ここは単にみのと愛川を比べるのではなく、みのと愛川+うつみ宮土理を比較すべきで、うつみ分がプラスではなく、実はマイナスとなっているのではないかと思う。

(秀)