地方によっては「型屋」と呼ばれていたりした。紙芝居屋と時期はほぼ同じく、30年ぐらい前の話である。1週間に1度とかの割合で、公園をオヤジが巡回して来る、男の子の遊びであった。素焼きで焼いた型に粘土を詰めて、作品を作るのである。オヤジはその型や粘土などの材料を売るのが商売である。型は勲章や飛行機、城に船、鷲の紋章など、それに何故かドクロの顔(黄金バット?)もあった。今となっては何が楽しいのかよく分からないが、オヤジがそれを商売として食っていけてたわけだから、当時は相当のファンが存在したことになる。

 型から作った粘土にはオヤジが売っている、金粉や銀粉、蛍光の粉などを塗って、作品としての仕上げを行う。それをオヤジのところに持っていけば、作品が評価され、それに見合ったポイントカードがもらえる仕組みである。ポイントを貰う上で重要なことはオヤジの機嫌を取ることであり、そのためにはたくさんの金粉を買って使わなくてはならない。何か体に悪そうな感じの粉であった。成分未定。ずるい奴は田んぼを掘り返して出て来た粘土を使おうとしたりするが、オヤジの眼光は鋭く不正を見破ってしまう。

 そのポイントを貯めるとオヤジの出店の店先に並んでいる、それはそれは豪華な作品(オヤジ作)をもらえるのである。しかし、ようやくポイントも貯まって、「いよいよ、来週あたり、あの鷲の作品がもらえる」と思った頃に突然オヤジが来なくなる。とりあえず最初の週は疑うことなく、オヤジはいないもののいつも通りに、同じ様な何人かで残った粘土や素材で作品作りに没頭したりする。やはり、次の週もオヤジは来ない。粘土屋が滅んでいったのは儲からないからという理由の他に、こうして子供達から逃げ回ったあげくに行くべき公園をなくしてしまったからかもしれない。こうして子供は人生のちょっと嫌な部分を学ぶのであった。粘土屋へ払っていた小遣いは授業料かな。