「聖子(仮名)、悪いんだけど急に金が必要になったんだ。買いたいもんがあってさ。ちょっと都合つかないかな?」

茂雄(仮名)はベッドで煙草を燻らせながら、聖子に話し掛けた。

「幾ら必要なの?」

「5万あると助かる」

「そんな急に言われても、・・・」

「例のパトロン親父から引き出せないかな?」

「ふっ」と、聖子は笑い出し、「じゃあ、2、3日待って」と答え、その会話が終わると2人はホテルを後にした。

 茂雄と別れて、聖子は早速パトロンの小須田(仮名)に電話をした。もうそろそろ潮時かなと思いながらも、便利なキャッシュディスペンサーであることには変わりない。しかし、その金も茂雄に貢いで聖子の手元に残ることはなかった。いつも通り相手は7回目のコールで電話を取り、しばらくどうでも良いような会話を交わし、次に会う約束をした。

「来週はサークルの合宿でしばらく会えないので、できればその前が良いわ。明日とか。それと1つお願いがあるの。来週の合宿のね、費用を明後日までに何とかしなきゃいけないの。バイト代入るのまだ先だし。・・・」

「分かった。明日会えるかな。金の方はなんとしよう。そのときに・・・」

 翌日、待合せの喫茶店に小須田はちょっと遅れてやって来た。聖子は小須田から金を受け取ると、「パパ、ありがとう。ちょっとこれから友達と会う約束があるので、また今度ね。バイバイ」と席を立って店を出て行った。仕方なく家に帰った小須田の後にしばらくして息子も帰って来た。

「茂雄、母さんには内緒にしといて欲しいんだが、ちょっと金を貸してくれないか。5万で良いんだ。5万で」

「親父、また悪い女に引っかかってんじゃないのか。ほら」

茂雄はポケットからさっき聖子から受け取った金を小須田に渡した。

「いや~ぁ、悪いな、いつも」

「(しょうがない。また、聖子にせびるか)」

この5万円が小須田の手元に留まったのは僅かな時間のことであった。

※この話の原作はある4コママンガである。