日本の標準語では現在進行形と現在完了形の差異を表現することが難しい場合がある。「雪が降っている」。これでは今まさに雪が降っているのか、朝起きたら雪が積もっていたのか分からない。もちろん、後者は「雪が降っていた」などと別の表現を使用することもあるが、会話などで出る言葉としては、やはり、「雪が降っている」というのが一般的だろう。ところが、方言となるとこのあたりの表現は明確で、使い分けられている。私の地元の場合、現在進行形を「雪の降いよっ」と、現在完了形を「雪の降っとっ」と言って使い分ける。ともに「の」は文法的には主格の助詞であり、普通に言えば「が」に置き換えられる。ただ、これだけの言葉があるにもかかわらず、いかんせん九州のため、雪が降ることは少なく、あまりこれらの言葉を使用する機会はない。

 私の地元では、ぶらぶらと歩くことを「さるく」と言う。もし、お見合いの席か何かで「このあたりを歩きませんか?」というのは「この辺、さるきません(か)?」となる。これを東京で使ってみよう。すると相手には「この辺に猿は来ませんか?」と聞こえているだろう。よって、「この辺に猿は来ません」と答えるはずだ。ちょっと前なら「麻布あたりなら来ますよ」となったかもしれない。

 そう言えば、先頃麻布近辺に出没し、ついに捕獲された猿に関して、巷であれは「ソニーの陰謀」という噂が流れたらしい。