第104話 ■彼女たちの時代

 彼女たちはまさに遅れて来た世代である。彼女たちは26歳。女子高生、女子大生ブームには届かず、いざその年代となると下の世代がもてはやされ、いざ就職となると氷河期。仕事では中堅所としての期待を受けているものの、それは会社のご都合主義でしかない。権限がないわりには責任ばかり追求されることに彼女立ちは辟易している。「私は何でこんなことをしているんだろう」と。

 彼女たちを演じるのは、深津絵里、水野美紀、中山忍の3人である。彼女たちは日常で感じる不満から自分の存在意義に疑問を抱き、絶えず「自分探し」を行っている。それぞれの置かれている状況は違っているものの、日常で満たされない不満の原因が「会社で認められていない」という部分が共通していて、深美(深津)が、ふと立ち寄ったカルチャースクールで3人は出会う。全体的に非常にリアルな作りになっているが、自分探しでいきなりカルチャースクールという発想には幾ばくかの飛躍を感じる。彼女達に他に友達がいないという共通点もちょっと変な気もする。

 彼女たちの中心は恋よりは仕事に重きが置かれている。多くのドラマが恋愛を、しかもそのほとんどが三角関係や四角関係のバリエーションでしかないものを中心に描いているのに過ぎないということに気付けば、かなり新鮮な構成と思えるかもしれない。後半恋愛(しかも不倫)に重きを置いた展開に移行するが、決してそれが全てという構成ではない。

 「自分探し」。どことなく哲学的な匂いのする耳当たりの良い言葉である。このドラマのメインテーマはまさしくそれである。結局彼女達が自分を探し出せるのかは来週の最終回を待たねばならないが、世間一般でもそう思っている人が随分多いことだろう。そんなことを考えもしない人は日々の生活に満足しているか、忙しすぎてそんなことを考えている暇もない人だろう。あなたはどのケースだろうか。自分の周りの26歳(前後)の彼女たちの顔が浮かんだ。