第110話 ■お帰り、ブースカ

 「快獣ブースカ」が来月からテレビに帰ってくる。帰ってくると言っても以前のテレビ放送は昭和41~2年のことなので、ほとんどの人が前作を知らないことだろう。今十月からの実写版ブースカの放送(テレビ東京 土曜日 午前7:30~)が決まったそうだ。簡単なストーリーがテレビ雑誌で紹介されていたが、主人公の少年がブースカを誕生させるところから始まるらしい。少年の役名は変わっているものの、この設定はどうやら前作と同じであるらしい。

 ブースカはイグアナである。前作では大作という名の少年が「クロパラ」という特殊成長薬を発明し、それをイグアナに与えたことでブースカは誕生している(誕生したときはわずか体長50センチであった)。弟のチャメゴンは大作少年が発明した「物体電送構成装置」によって誕生しているが、こちらは使用している動物はリスである。イグアナを買う金がなかったかららしい。ブースカが兄弟でないと参加できない二人三脚にどうしても参加したいという動機で誕生している。

 今から12年ほど前にブースカの密かなブームが起きた。それは前作の終わりのストーリーに起因している。前作の最終回ではブースカは宇宙へ旅立って終わった。10光年離れたアール星までエネルギー物質を取りに行く目的で、ブー冠(ブースカの冠のこと)のブースカニウムをエネルギーとする光速巡航ロケットに乗ってチャメゴンとともに旅立ったのである。光速だから10光年の往復は20年。そしてブースカが「20年後に戻ってくる」と言い残したかどうか(確認は取れていない)、前回終了からちょうど20年経ったので、「帰ってくるのでは?」という期待から起きたブームであった。今回のリバイバルはブースカが宇宙から帰ってくるところから始まるかと思っていた自分にはちょっと残念であるが、まずは正直に復活を喜ぶとしよう。

 今回また新たにブースカが生まれるということは、あのロケットに乗って旅立ったブースカはいまだに宇宙をさまよっているわけである。ブースカは2匹いるわけだ。40年代に活発だったゴジラ映画が昭和60年に復活したときに、「今度のゴジラは昔ミニラだったのが大きくなったんだ」という噂があった。ゴジラは何匹いるのだろうか?

参考文献:「BASARA de BOOSKA」 扶桑社刊

※新ブースカの予告を見ると主人公の少年の父が発明家で大作となっている。今回は前作の少年が父親になって、その息子が主人公という設定の様な気がする。ひょっとしたら、今回のストーリーの中で前作ブースカが宇宙から帰って来やしないかと期待している。