第117話 ■露店

 秋祭りの季節となった。祭りの語源は「まつる」という言葉から来ているわけだが、多くの人々の関心事は主役の御輿などの神事よりも軒を並べる露店かもしれない。たこ焼き、わたあめ、クレープ、あんず飴。材料の原価を考えると、なんと荒利率の良いことか。その一方で、最近は「くじ屋」というのが随分増えている。300円程度でくじを引かせ、テレビゲームやカードが当たるというものだ。子供達の射幸心はいやが上にも煽られ、小学生などは格好の餌食であろう。

 今は「遊戯王」のカードというのが、男の子に特に人気らしい。くじ以外でも珍しいカードを販売していたりするが、1枚のカードが千円から上は1万円ぐらいの値付けとなっている。通常買えば、5枚150円でしかないのに(もちろん、くずカードがほとんどだろうが)。もちろん子供達もキラキラに光ったこれらのカードを狙ってくじを引いているのは間違いない。しばらく足を止めて、くじの出目を調査してみた。くじをめくると数字が書かれているものであるが、予想通り「はずれ」の番号しか出てこない(それでもくずカードが二枚はもらえる)。別の店では同じカードが下敷きやはがきの大きさになっているものもあった。よく見れば、カラーコピーをラミパックしたものだった。何たる悪質。Copyrightのマルシーマークまでもコピーされているところが妙に面白い。それ以上に、これだけのレアなカードがどうしてこのような業界の人に大量に流れているのかが不思議でたまらない。

 うちの子供達も買いたそうに店先で足を止めるが、買ってあげない。「当たるはずがない」と説明している。これはあくまでも私の推論でしかないが、あのくじの中には始めから当たりなど入っていないと思う。以前、テレビゲームが当たった人のポラロイド写真を店先に貼っている店があったが、その写真が本物である証拠はないし、たまに当たりが出るとしても年に何度のことだろうか?。それぐらいの枚数の写真でしかない。露店の奥に掲げてある、ドリームキャストやゲームボーイの箱が随分日焼けしていて、汚れている。それが証拠である。