第1347話 ■総理突然の辞意

 安倍総理、突然の辞意。そのタイミングには驚いてしまった。一昨日に所信表明演説をしておきながら、その代表質問の日、しかも直前に辞意を表明するとは。

 9日にシドニーで「職を賭して」と彼が発言した際に、これで辞める覚悟ができたんだと思ったが、それはもっと国会が行き詰ってからだと思った。まずはテロ特措新法を衆議院で可決し、これを参議院に送る。もちろん、参議院でこの法案は通らない。ここで否決されれば、衆議院の3分の2で再可決して法律にすることができる。しかし、これが否決も何もされず放置されると、現行のテロ特措法の期限が切れてしまう。

 そこで安倍総理はたとえ否決であっても参議院での議決を急がせることを民主党と交渉し、それと引き換えに自らの首を差し出すものだと思っていた。民主党も法案に反対したことと、総理の首を取ったことで面目が立つ。お互いが大人の選択をすると思っていた。本当に今のこのタイミングで辞めることが時局を打開できるのか、私にははなはだ疑問である。こんなにテロ特措法が気になるんだったら、先の通常国会で与党がまだ過半数を持っていたときに強行採決ででも延長しておけば良かったんだ。

 安倍総理は本当にタイミングが悪かった。たとえ誰が総理大臣でも潰されていただろう。私は彼がこのタイミングで政権を投げ出したのは、精神的なストレスからによるものも相当大きかったのではないかと思う。後継も相当大変な役どころとなりそうだ。麻生幹事長らには、そのあたりの葛藤があるのではなかろうか。

(秀)