第1351話 ■次の総裁

 当初、次の自民党総裁として本命視された麻生太郎前幹事長は、結局今回も次の総裁のままであり続けることになった。余程の失態さえなければ、次の総裁は間違いないであろう。ところが、この次の総裁という立場は実に微妙に思える。従来、自民党の総裁がそのまま総理大臣になるケースがほとんどであった。ただし唯一、河野洋平現衆院議長は自民党総裁になりながら、総理大臣にはなれなかった。

 河野総裁のとき、総理大臣は細川、羽田。政権再編の新党ブームで自民党は選挙で過半数を割り込み、政権の座を明け渡していた時期であるため、このような結果となった。河野洋平がサラリーマン新党として一旦自民党を捨てておきながら復党し、総裁まで登りつめたのも、そのときの総裁が総理になれないことが確実で総裁選挙が盛り上がらなかったためだったと思う。ちなみにこのときの対抗馬は渡辺ミッチー。

 さて、次の総裁である。次の総選挙で自民党が負けるとなると、福田総理は退陣することになるだろう。となると、総裁の職も辞し、総裁選挙で次の総裁を決めることになるが、衆議院でも与党が過半数を割り込んだとなると、自民党は一転野党になってしまう。せっかくの自民党総裁でも総理になれないわけだ。次の総裁とはそういうジレンマを抱えての立場になり得る。今回はダメだったけど、次が確実になったからと喜んではいられない。総裁になりたいのではなく、目標はあくまでも総理大臣なのだろうから。

(秀)