第1417話 ■呪われた子どもの話 ~小噺

 先日の早朝寄席で時松さんがまくらで話した小噺より。

 ある4人家族があった。おじいちゃん、おばあちゃんに若夫婦。この若夫婦には子どもがなかったが、ついに念願の赤ちゃんが誕生した。初孫でもあり、一家は大喜びであった。

 ところがこの赤ちゃん、表情がない。笑うことをしないし、喜怒哀楽を全く表現しない。そして、何ら言葉を発しなかった。

 そして、この子が誕生してから丁度1歳の誕生日に「おじいちゃん」と言葉を発し、翌日におじいちゃんがポックリ死んでしまった。この後また、この子どもは言葉を一切発しなくなった。

 やがて1年が経って、この子の2歳の誕生日。今度は「おばあちゃん」と言って、翌日におばあちゃんが亡くなった。そして、1年間この子はまた言葉を発しなかった。

 それからまた1年が経って、3歳の誕生日。子どもが「おかあさん」と言って、翌日に母親が死んでしまった。そしてまた、子どもは何も話さない。ここまで来ると偶然とは思えず、父親は次の誕生日は自分の番かと、不安でしょうがない。

 やがてこの子の4歳の誕生日がやってきた。そしてこの子が「おとうさん」と言った。ついにこれで俺も死ぬのかと父親は恐怖に震えた。

 翌日、隣の家のおじさんが死んだ。

(秀)