第1501話 ■新型アルファード兄弟

 先週、トヨタのミニバン、アルファードがモデルチェンジした。従来までのアルファードは販売チャネルの区分けで、フロントグリル部分のデザインとネーミングが異なる2系統で販売されていたが、今回のモデルチェンジで、アルファードはトヨペット店での専売となり、一方のネッツ店の車はヴェルファイアという名称の新たな車としてリリースされることとなった。これら両車は中身は同じであるが、フロント部のデザインにおいて大きく異なっている。(リアもちょっと違う)

 アルファードの方は従来のモデルから予想の範囲内の極めて順当なモデルチェンジを見せた。一方、ヴェルファイアはアルファードに比べると若者を意識して、いかつい顔をしている。ネッツらしく、ヴォクシーの(特に旧型の)流れをくんだ、上下に二分されたヘッドライトが特徴となっている。

 早速先週末、両車をディーラーでそれぞれ見てきた。まず最初にネッツでヴェルファイアを見たが、従来のアルファードとボディサイズはほとんど変わっていない割には、車体が非常に大きく見えた。フロントマスクの押し出しのせいだろう。パワーや燃費の向上はもちろんのこと、乗る人の快適さの向上にも気遣いが見られる。展示車両はスポーツタイプのスポイラーが付いたものだったが、安いグレードではこれが付いていない。ヴォクシーもそうだが、フロントの押し出しが強い分、スポイラーがないとどうもしまらない。

 その翌日にはトヨペットでアルファードを見てきた。やはり私はヴェルファイアよりもアルファードの方が好きだ。フロント部分以外はほとんど同じ車であるので、あまり驚くべきことはなかった。ただ、いずれにせよ、今私が乗っているアルファードを売り払って、新型車を買いたくなるような衝動は起きなかった。ひとまず安心。

 この2日で驚いたこと。新型発表会でありながら、客が少なかった。ネッツは私の他にもう1組。トヨペットでは私だけだった。全然盛り上がっていない。新車が売れない現状をそのまま反映しているようだった。普通、新型発表会ともなれば顧客に声を掛け、来店客数の目標を掲げるなどして、集客するものだろうが、どうなっているのか?。熱心なところは電話など掛けてくるのだが、私のところにはお決まりの案内状が郵送されてくるだけだった。ちなみに私が行ったネッツ店は、私がアルファードを買ったのとは別の販売会社のネッツ店だった。

 ところでなぜ今回トヨタはアルファードを2系統に分け、ヴェルファイアなる車を作ったのだろうか?。正直、宣伝などのコストも単純に倍になってしまう。そして何より、アルファードは世間的に認知されているが、ヴェルファイアは名前からして覚えにくい。ネッツの販売員はアルファードに比べてヴェルファイアがマイナーであることを認め、やや嘆いていた。

 正直言って、ヴェルファイアは売れないと思う。アルファードに比較すると若い層をターゲットにしているようだが、ミニバンを買う、家族も多いその年代が300数十万円もするような車をそうそう買えるものではなかろう。100万円安い、ヴォクシーぐらいがちょうどマッチしていると思う。そしてこれは好みの問題だが、万人受けするような顔でない。アルファードを買う人々の値引き交渉の当て馬にされるのが関の山ではなかろうか?。最後に大胆な予言を。ヴェルファイアはこの一代で絶版になるのではないかと私は予想している。

(秀)