第151話 ■Addicted To You

 タイトルからして、宇多田ヒカルらしい。これが日本語に訳されていたら、「あなたに夢中」で、これではキャンディーズの曲になってしまう(そんな曲があったんだよ)。ところで、私が嫌いなあの歌番組「速報!歌の大辞テン」(詳しくは第3話「宇多田ヒカル」を参照のこと)では、あの徳光がさも得意そうに、「『Addicted To You』というのは、日本語に直すと、『あなたに夢中』や『あなたに中毒』といった意味になります」とか、きっと言ってそうで腹が立つ。さらに、プロモーションビデオを流す前には「前回までとはガラリと変わった彼女の姿をご覧下さい」などとも言ってそうだ。確認したい気もするが、見ると腹が立つのでそれはやめておこう。

 「Addicted To You」のCDは初回出荷分だけで130万枚になったらしい。あの乾電池とMDのCMの影響も大きいと思う。1枚千円として、13億円。歌唱印税は1パーセントらしいので、それが1,300万円。彼女の曲は自作なので、その分も合わせると、5,000万円近くの金(推測)が彼女の懐に転がり込むことになる。もちろん、その後もCDは売れ続けているし、カラオケの印税も入るため、この1曲で1億円は稼ぎ出すことだろう。下世話だが、本の執筆印税は10パーセントぐらいらしい。1,000円の本が10万部売れたところで1,000万円にしかならない。しかもそうそう10万部なんて売れるものではない。労力を考えると音楽に比較して割に合わない。それに比べ、最近のプロ野球選手の年俸は高すぎるなあ。

 さて、曲の話に戻るが、詩の内容は恋のせつなさと大人になりたいがなれない、じれったさを歌っている。例によって同年代の人たちにリアル感とシンパシーを追求した形だ。しかし、1つだけ許せないところがある。「電話代かさんで迷惑してるんだ」。これまでのシングルとアルバムを合わせて数億円単位の印税を手にしておきながら、そんな携帯の電話代ぐらいでケチケチしないで欲しい。リアル感が薄れていくから。