第1515話 ■紙芝居プレゼン

 私はどうもプレゼンテーションソフトで作った紙芝居が好きになれない。プレゼンとして、説明を聞きながらその紙芝居を見るのなら良いが、その資料が一人歩きするようになると、それだけ見せられても何を言いたいのか分からないことがある。偉い人向けに企画書なり契約書を紙芝居で作ることがしばしばあるが、その偉い人は資料だけを受け取って、正しくこちらのメッセージを理解してくれているのかと疑問に思うことも多い。

 いざプレゼン資料を作成するとなると、内容よりも見栄えを意識してしまう。これでは本末転倒なのかもしれない。見た目は良いけど、中身が空っぽの資料になりかねない。けど見た目が良くないと見てもらえないのではという危惧が作業の手間を増やしてしまっている。

 それと何より、環境にやさしくない。プロジェクターで投影するなどで済ませれば良いが、だいたい配布資料として印刷される。しかも見栄えを意識して作ったからにはカラーで印刷したくなる。もちろん、紙代も必要で、結構コストが掛かってしまう。けど、大半はその会議の直後にゴミになる。

 ある大手の自動車メーカーではこのようなプレゼン資料の作成を自粛しているとの噂話を聞いた。確かにコストの問題もあるが、それ以上にコンパクトに、例えば用紙1枚に内容をまとめるなどの、かつての技量に注目したいというものらしい。この会社の偉い人は紙芝居を見せられるよりも要領よくまとめられた文章での情報を期待しているということだろう。

 私も全く同感だ。プレゼン資料作りよりもまずは文章を書けることと、正しく会話ができることがサラリーマンには重要だと思う。

(秀)