第1525話 ■カセットテープ

 私が初めて自分のラジカセを手にしたのは小学4年生の誕生プレゼントだった。それを高校生になって新しいラジカセを買ってもらうまで使用していたので、私にとっては結構長い間使っていたことになる。そして、高校生になったらステレオラジカセを買ってもらった。

 このあたりになると、いろいろと音楽の趣味も広くなる。カセットテープにも良い音を目指してちょっとばかり気を使うようになった。テープのタイプは大きく分けて3つ。ノーマル、クローム、メタル(さらにクロームテープを2つに分ける分け方もある)。大体はノーマルテープを選ぶのだが、それでもテープの特性をつかんで、テープを選びようになった。

 同じノーマルテープでも、ソニーのものは録音レベルをちょっと上げて録音すると音にメリハリが付いて、音の再現性も良くなるように感じたため、そうして好んで使用した。但し、この加減が難しく、レベルを上げ過ぎるとすぐに音が歪んでしまった。TDKのテープはこれといった特徴はなかったが、どのようなジャンルのソースにも幅広く使える、使いやすいテープだと私は評価していた。

 一方、ちょっと奮発してもっと良いテープを求めるとなると、中途半端なクロームテープではなく、頂点のメタルテープを目指した。中でもTDKのメタルテープで透明なフレームに金属のダイキャストがはめ込まれた「MA−R」シリーズは私たちの憧れのテープだった。ダイキャストの重さにより、テープが安定走行し、音のブレが小さい、などということがまことしやかに広まっていた。実際はどうだか知らないが。

 私がテープの優劣を外観で判断する基準はテープ自体の色だった。磁性体が黒いテープが良いテープとなる。安いテープは茶色いし、高いメタルテープなんか真っ黒だった。後はにおいだろうか。TDKのテープは最初にセロファンをむいてテープを取り出したときに、プーンと磁性体の鉄のにおいがした。このにおいが強いものが良いテープだった。

(秀)