第1676話 ■落語ブームの危機か?

 私が落語好きになって2年。きっかけは映画「しゃべれども しゃべれども」だった。確かにドラマ「タイガー&ドラゴン」でちょっとは落語に興味が向いたが、実際に寄席に足を運んでみたのは、先の映画の影響だった。そして今では年間に約50回の寄席と落語会に通い、通勤途中にはウォークマンで落語を聞いて、ブログなんかで若手落語家を陰ながら応援している。

 ところが最近ちょっと私の意識に変化が生じてきた。確かにこの2年で目も耳も肥えてきたに違いない。そのせいか、若手落語家の噺を聞いていて、面白いと思うことはあっても、上手いと感じることがほとんどない。私が以前見て、心を振るわされた演目を再び同じ人がやったのを見た。彼も以前よりは上手くなっていて当然だろうが、残念ながら、前回その演目を見たときの感動はこのときなかった。

 私が毎週のように足を運び見ているのは「早朝寄席」という二ツ目が4人出てくる寄席である。以前は偉い人が楽屋にいないから若手がのびのびとしていると感じていたが、ここに来てこれが彼らの緊張感のなさになっていると思うようになった。真剣さが足りないというか、軽く流しているような感じすらする。落語ブームとやらで客が多く入ることを良いことに、だらけている感じもする。五百円という木戸銭の安さに客の有り難味を忘れてはいないか?。

 確かに一生懸命やっている二ツ目もいるが、全体的に最近の若手落語家は良くない。こうしてせっかくのブームを自分達で潰してしまうという危機感が彼らにないとしたら、ブームの終焉とともに長い冬の時代を迎えそうな気がする。おごるな若手落語家よ。

(秀)