第178話 ■金八先生の危機

 金八先生が辞職の危機である。去る1月6日のスペシャル放送の最後に金八先生が体罰教師となり、校長に辞表を提出した。事件の顛末は、ざっとこうである。3学期が始まり、生徒達が集まった教室にデイサービス(日帰り介護)センターの大西さん(彼は桜中学の元校長である)がこれから始まる10分間読書のために本をプレゼントしようと現れる。金八を困らせてやろうと企んでいた、兼末健次郎(141話「レフリー」参照)の一派が大西さんをからかい、挙げ句に塩沢好太が大西さんに「死ね」と吐き捨てる。怒った大西さんは好太に掴みかかり、「分かった、死んでやる。言って良いことと悪いことがあることを死んで教えてやる」と言った途端、好太が大西さんを突き飛ばし、大西さんは壁に頭を強打し気を失ってしまう。怖くなった好太は教室から逃げ去り、屋上のフェンスを乗り越え、そこから飛び降りようとするが、そこを金八や他の生徒に取り押さえられた。幸い大西さんも骨にひびが入ったものの、命には別状はなかった。

 金八は生徒が待つ教室に戻り、自分が3Bの担任代行になった前担任への暴行事件を取り上げる(124話「金八先生の苦悩」参照)。前担任の中野先生が病院送りになった暴行事件を金八は敢えて追求しなかった。それは「3B全員が犯人だったから」と金八が言う。ただ、金八は前の事件の首謀者が健次郎であったことも、その後の色々な事件の糸を引いていたのも健次郎であったことを金八は既に気づいており、わざと気づいていない振りをしていた。黒板に「約束」と書いて、金八は3Bの担任代行になったときに「今度、人の心を踏みにじるようなことが起きたら、私は許しません。そいつをぶっ飛ばします」と言っていたことを話す。そして今回の騒ぎ。大西さんの心を踏みにじったクラス全体の行為を許せず、「私を約束を守らない大人にしたいのか?」と生徒達に問い、生徒達の代表6名に平手打ちを与えてしまった。

 27年間の教師生活の中で3人を殴ったものの、殴ったことが良いことかどうかを疑問に思っていた金八は、今回生徒たちを殴った責任をとり、辞表を提出した。「学校教育法11条、体罰の禁止の項をやぶりました」と金八は校長に語る。周りの先生達は慰留するが、そこでその回の放送は終わってしまった。番組の最後に流れた次週の予告では、マスコミやPTAから体罰教師と吊し上げられ、辞職を求める父兄が出てくる。さて、どんなやりとりになるのだろうか?。

 と、ここまであおっておいてなんだが、3月までの放送が決まっている限り、途中で金八先生が辞職するはずはない。そう思って見てしまうと、ドキドキ感がちょっと半減してしまうが、今回の金八っあんの説教には泣けたなあ。