第1798話 ■我、石川啄木になる

 4月の第二日曜日の翌日。首都決戦は現職が四選を果たしたということで、それが月曜日の憂鬱を増してくる。まあ、投票権のない街のことなので、自分には直接関係ないが。今住む街の県会議員選挙の結果を見るが、知らない人ばかりで何の思いもわかない。「みんなの党」で若い新人候補が2名も当選。あの党にこれほどの組織力があったのか、と考える。

 その後、郷土の選挙結果を見る。新聞を取っていないので、iPadで新聞社のサイトで確認する。県議会議員の当選者の名前の中に、何度か見たことのある名前を発見。いや、間違いない、彼だ。高校の同窓生が県会議員になっていた。ビックリ。彼とは在学中には接点がなかったが、何年に一度かのタイミングで夏に帰省した際の同窓会で世話役を務めている、面倒見の良いヤツだ。

 これまでも市議会議員の同窓生はいたが、県議会議員は初めてである。田舎では父親の代から、地場の政治家のいわゆる名士の家系で(このことは今回初めて知ったが)、PTA協議会の会長や商工会の役員をやって、保守系政党の青年会でも活躍しているようだった。まあ、そういう意味では順当なことだろうが、実際に立候補するなどと聞いていなかっったので驚いた。きっと地元に残った同窓生達も応援や票集めなどでがんばった事だろう。

 知っている人がこのように偉くなっていくことは何となく嬉しい。できれば、芸能人にみたいな人材が出てくればもっと嬉しいのだが、同世代の地元からは出ていない。「俺もこのままでは終わらないからな!」とか、「これからひと花咲かせてやる!!」と自分もいきがってみるが、しがないサラリーマンのまま。

 夕方雨が降り、傘を持たずに出たので家人を迎えに呼んだ。駅ビルの花屋の店先で小さな花束になったものを買う。「友が皆 我より偉く 見ゆる日よ 花を買ひ来て 妻と親しむ」。我、啄木になった晩。

(秀)