第1858話 ■電子書籍をスマホで読みたいとき

 紙の本の背表紙をカットして、スキャナーで読み込み電子ファイル化することを「自炊」という。ページのデザインをそのままPDFファイルにするため、文字の大きさなどは、それを見る端末の画面の大きさによって変わる。そろそろ文庫本の文字を読み続けることが難しくなってきた私にも、iPadで見ると大きな文字となって、これは助かっている。

 一方、これらをスマートフォンで見ることは難しい。横書きの本であれば、スマホを横向きにして、画面をスクロールしながら読むことも可能だが、縦書きの本の場合は諦めるしかない。

 本来の電子書籍というのは、PDFファイルではなく、ネイティブな専用のフォーマットで、画像ではなく文字データとして内容が記録されていて、文字の大きさや行間なども自由に変更できるものを指している。例えば、アマゾンのKindleであったり、ePubというファイルフォーマットなど。これらはファイルサイズも小さいし、文字検索も正確に行える。音声での読み上げ機能も、いずれ実用的な域に達するだろう。

 やはり、あの紙の手触りがないと本を読んだ気がしない、という意見には私も同意する。全体のどのくらいの位置を読んでいるかの情報は常に刺激となっている。しかし、必ずしもいつも紙の本が手元にあるとは限らない。むしろ、ない時の方が多いはず。例えば、予定外で待たされた時。例えば、夜の車の中とか。駅に迎えに行って、待たされることが、ままある。あるいは、役所の窓口とか。

 アマゾンKindleは、文字の本であれば、スマホでも文字サイズを最適化して読むことができる。いつもはタブレットで読んでいる本を、その読みかけの位置から、ほんのわずかな時間でもスマホで続きが読める。まあ、多くの人はそのような時間とスマホがあれば、メールやSNSのチェックをするんだろうが、私の場合は本を読んでいる。夜の車の中でも読めるところが、紙の本にはない嬉しさだ。

(秀)