第1870話 ■リモコンの逆発想からの拡張

 テレビにリモコン機能が付いてからというもの、人々のテレビを見るスタイルが一気に変わった。CMの度にチャンネルを変えることなど当たり前。そんな便利さはもちろんビデオデッキにも広まって、それは録画したもののCMを飛ばすために主に使われ、その証拠にリモコンのボタンのところを見ると、決まって「早送り」のボタンのマークが消えていたりしないか?。

 それにしても、ビデオデッキのリモコンの「取り出し」ボタン、DVDレコーダーのリモコンの「取り出し」ボタン、これはいったい何のために付いているのだろうか?。ボタンを押したところで、テープやディスクが出てきたところで、それらを入れ替えるには、ルフィーのような伸びる腕がないといけない。もっとも、そんな腕があるなら、「取り出し」ボタンなんかいらない。

 さて、わが書斎のシステムコンポはソニー製のHDDのシステムである。音楽CDから音楽をデータとしてHDDにコピーして保存。ラジオ番組もタイマーをセットして、HDDに録音する。そしてそれをウォークマンにダビングして持ち歩いていた。これほど便利なコンポながら、今ではこのシリーズの製品は後継品も含めて販売されていない。ソニーが音楽端末において、アップルに負けたため、主たる音楽コンテンツの保管場所がパソコンへと移ったためだろうか。音源がCDだけならそれでも良いだろうが、私はラジオも録音したいので、それではやはり困ってしまう。逆にこのコンポはウォークマン以外の音楽端末との連携はほぼ最悪。

 HDDに大量の音楽データが保管されているので、聞きたい曲のCDを都度セットするようなことはない。そのせいでもないだろうが、このコンポのリモコンには「取り出し」ボタンがない。ただし、このコンポとリモコンとの連携には大きな問題がある。掛けたい曲をコンポ本体のモニターで表示して選択するのだが、ちょっと距離をおいて、リモコンで操作すると、スマホの画面を数メートル離れて見ているようなもんで、画面の文字が読めない。実質、離れてのリモコン操作では使いものにならない。

 そこで最近、このシステムの外部入力端子に、Bluetoothのレシーバーを付けた。私が持っているウォークマンはAndroidで動いているため、WiFiのみならず、Bluetoothによる通信機能も持っている。ウォークマンとこのシステムコンポをBluetoothで接続し、ウォークマンで音楽を再生すると、その音はコンポのスピーカーから出力される。いや、ここまでくると、HDD内蔵のコンポである必要も、ウォークマンである必要もない。Bluetoothで接続できれば、ラジカセとスマホでも良い。好きな曲を次々に鳴らして、まるで、液晶付きのリモコンが手元にあるようなもんだ。

 なお、手元のスマホにファイルを保存していない場合でも、自宅のサーバーに保存している音楽ファイルをスマホで再生して、その音をBluetoothで飛ばしてシステムコンポで鳴らす、という技もできる。もっと言うと、車の中から、スマホで自宅のサーバーに接続して音楽を再生するが、それをカーナビへBluetoothで飛ばして、車内のスピーカーで鳴らすこともできる。ここまでくると、多くの人は思考停止になるようだ。まあ、とりあえずそんな話ってことで。

(秀)