第1883話 ■議員サイトについて

 「せめて、名前と顔だけでも覚えて帰ってください」というのが、若手落語家の常套句だ。とにもかくにも覚えてもらうことが先決である。芸事に精進して実力が付けば、というわけにはいかない。彼らは日頃からいろいろとこの点においても努力をしている。

 同様のことは、政治家にも言える。末端は、市区町村の議会議員から。ホームページを持って、ブログを書いて、facebookもやってみたり。けど、私に言わせれば、この分野はIT化がとても遅れている。総じて、民間企業のホームページと利便性について比較をしたら雲泥の差がある。一部はちゃんとプロに依頼をしてデザインされたらしいサイトもあるが、あるものは、10年位前に趣味でホームページを作る人が結構いたが、その類。要は素人作品。

 一度作って終わりでないことは承知していて、コンテンツは随時追加してあっても、構造自体が古ければ、利用者からはいろいろと不便なところばかりとなる。3年以上前に開設したサイトは、ほとんどスマートフォンからのアクセスに対して、適切なレイアウトを表示できない。パソコンのレイアウトをそのまま縮小して、スマホの画面に表示されるだけなので、文字が小さくて読めない。リンクの有効範囲が狭すぎて、文字やバナー等が押せない。もはや、パソコンよりもスマホからのサイト閲覧が多くなっているのに。約半数の利便性を切り捨てている。要は約半数の人がページにたどり着いても、見てもらえない。

 それと、検索に弱いこと。自分の名前で検索して、上位に表示されるからと喜んでいては、新たな支持者を獲得することができない。「○○市 市議会議員」といったワードからの検索で上位表示を獲得しなければ、新たなアクセスを獲得することは難しい。検索エンジンへの対策(最適化)が不十分だったり、全く行われていなかったり、間違って行われている(マイナス効果)ケースもある。画像で見栄えは良くても、検索エンジンのロボットから見れば、中身がスカスカのページは結構多い。これは、議員サイトに限ったことではないが。検索エンジンのロボットは、残念ながら画像の内容なんて、現時点では把握、収集できない。だから、適正な対処をしていないとスカスカと判断されてしまう。

 とある市議会議員のサイトをその市の市議会の広報ページからのリンクでたどり着き、内容を(勝手に)チェックしていたら、どんな言葉で検索しても、そのページがヒットしない。議員本人の名前ですらヒットしない。調べてみたら、検索エンジンロボットのアクセスを拒絶するタグがページ内に記されていた。検索エンジンから見れば、この世に存在しないサイトということになる。

 制作業者が納品時に、当該タグを取り忘れた単純ミスかもしれないし、使用したテンプレートファイルにあったそのタグの意味が分からない人が作ったのか知れない。いずれにせよ、作って渡しておしまい、稼働後の実際のアクセス状況がどうであるかの確認も行っていないとすれば、これまたお粗末としか言いようが無い。ご当人に、人を介して状況を伝えてもらったが、どうも事の重大さにお気づきではないご様子。「お後が宜しいようで」では済まない、そんな話。

(秀)