第190話 ■悪魔の嫁入り道具

 世紀末、もとい聖飢魔Ⅱは本来の世紀末である、西暦2000年を待たずに昨年末で解散してしまった。

 社外の人とのメールのやり取りで、「ところで、・・・.」、なんて書き出しで仕事に関係ないことを書き始めたり、もらったりすることで、その人の普段とは別の一面を発見するようなことがある。ある人には名刺交換をした翌日から、いきなり「秀コラム」が送り届けられたりする。しかも毎日。そんなある日、その彼女のメールには「聖飢魔Ⅱ、好きですか?」と、仕事の用件の終わった後に書いてあった。少ないがとりあえずCDは持っているし、かつてはデーモン小暮のオールナイトニッポンも毎週欠かさず聞いていたため、そんなことを返信したら、更なる返信のメールが送られてきて、その中に熱心な信者(ファンのことね)ぶり、最近のミサ(ライブのことね)の様子や新教典(新譜のことね)が素晴らしい、などと書かれていた。自分が全く熱心でないことが申し訳なく、早速「二度と自分が信者であると言いません」と、その信者さんに詫びを入れた。

 そしてまたある日、その信者さんから「SkyPerfecTV!に入っていますか?」という質問メールがやってきた(誤解なきように付け加えるが、こんなメールのやり取りばかりをしているわけではない)。聖飢魔Ⅱのラストコンサートの生中継とデジタルラジオの放送があるとの情報を受け、録画(録音)を引き受けた。

 年が明け、ビデオテープを送るとお礼のメールがやってきた。その中には「テープ代はいくらですか?」と書かれていた。また、「永久保存版にして、大事にします」とも書かれていたので、「テープ代は結構です。いりません」と打って、「嫁入り道具にして下さい」と打った。仕上げは「ご祝儀前払い」と。しばらくすると、そのまたお礼にあわせて「嫁入り道具に持って行きますが、まだあてがありません」と記されていた。洒落です、洒落。