第1929話 ■「お役所仕事」でも責められない

 「お役所仕事」という言葉は、公務員に対する批判的な意味で用い、それに倣って、民間企業などでも同様の対応が見られる場合の揶揄として使われる。けど、あなたの家族や身の周りに公務員はいませんか?。自分の身内に公務員がいても、「お役所仕事」とか、使うのかな?。まさか、「税金泥棒!」とは言わんよな?。自分の場合は3親等以内については該当者がない。よって、あまり気兼ねすることないが、そういう言葉は使わないようにしている。

 比率、確率から考えると相当数の関係者がいるはずだ。当事者がサービスを受ける側として役所を訪れた際に、「お役所仕事」に接した場合はどうしているのだろうか?。「まあまあ、ご同輩」という感じで収まるのか?。それともむしろ腹が立つのか?。「お役所仕事」とか、税金を払うことに対して快く思っていない人がたくさんいるはずなのに、子どもの就職先に「公務員」を勧めていたりする。「税金泥棒!」と言って(思って)おきながら、子どもをそうしようと思う気持ちが分からない。

 最初から、お役所仕事をやろうとして公務員になる人はまずいないだろう。それが次第に周りの環境から皆ほぼ同じように変化していく。そうしないと組織から浮いてしまうし、それに馴染めない人は見切りをつけて辞めてしまう。何もこれは官公庁に限ったことでなく、民間企業にもあり得る。定年まで勤め上げるということは、ある意味妥協の上に成り立っている。

 「会社の常識は社会の非常識」という言葉がある。会社に限らず、公務員の常識も社会の非常識だろう。組織の意思決定は、個人の思惑だけで動いておらず、また、長いことそのベースは変えられない。年度末に道路工事が多いのは、実は感覚的なだけで、実際の件数の分布が年度末に偏在しているわけでもないらしい。予算は使い切らないといけない、というのが何ともナンセンスかと思ったりもしたが、民間企業ながら同じような前例主義で仕事をしていた(やらされていた)ので、これらの状況を批判することなど、到底自分にはできない。

(秀)