第1935話 ■値引きの結果が高い買い物

 参議院予算委員会で注目の森友学園問題。「(総理大臣夫人は)公人か、私人か」。異様に安い価格で売買された土地の問題の背景に、学園側は総理大臣夫人の名を借りて、そこから生じる忖度(そんたく)に期待したのかもしれない。総理とその夫人となると、それほど顔を合わせて会話する暇もないことだろうし、夫人の動きについて、総理がリアルタイムに行動を把握していることはあり得ないだろう。

 昭恵夫人、大丈夫かな?。総理に相当怒られたのではなかろうか。この件で予算委員会で声を荒げる総理の姿を見ると、彼に同情する。しかし、あんな感じで怒られていたらこれは相当ショックなんだと思う。官僚のスタッフを付けるのも良いが、総理の陣営としては自らの事務所のスタッフを夫人に付けるべきだったと思う。夫人は脇が甘すぎた。チヤホヤされたり、この事件の前の活動での達成感などがあって、気持ち良かったのかもしれない。

 鴻池元防災大臣。共産党書記局長が某国会議員の事務所からのメモとして、予算委員会で総理を追求すると、早速自ら名乗り出た。「コンニャク」が100万円の札束を表す隠語であることは後から知ったが、この人なら「無礼者!」と言いかねないような気がした。後から封筒の中身が3万円の商品券だったと学園側の弁護士が発表したが、どうも怪しい。おばはん(理事長夫人)が泣きながら、3万円程度の商品券を渡そうとするだろうか?。もし本当なら、元大臣も安く見られたもんだ。ところで、鴻池事務所の秘書が書いたメモがどうして共産党に流れたのだろう?。

 国会の予算委員会は「予算に関係する」という前提でテーマは何でも良く質問できることになっている。しかし、来年度予算案は衆議院を既に通過し、参議院での委員会審議である。30日ルールがあるから、参議院が議決をしなくても、今月中に予算は自然成立する。そういう意味での緊張感がどうも足りない気がしている。

 誰かが嘘をついている。用地売却のやり取りでもそうだが、学園側の話からも様々な嘘が露呈してきている。中学校の提携進学先として発表していた提携先の学校が「そんな話はない」とのこと。大阪府に提出している補助金の申請に関する金額にも大幅なズレが有るらしい。4月の開校に間に合わないどころか、今後のことを考えると、幼稚園も合わせて、入学・入園希望者が減るだろう。破綻した場合、分割払い中の土地に国は担保設定をしているのだろうか?。怪しい値引きが、結局はこれ以上ない高い買い物になってしまった。ゴミを埋めるだけでなく、墓穴も掘っていた。

(秀)