第194話 ■泣いた赤鬼

 節分である。思い出すのは豆まきに使う鬼の面である。幼稚園では必ずと言っていいほど、節分のイベントが催される。子供達は自作の鬼の面でそのイベントに臨むのであるが、これには幾つかのスタイルがある。まず基本は鬼の目の部分に穴を開け、輪ゴムで耳に引っ掛ける、スタンダードスタイプ。続いて、頭の額の部分にひょこっと載せる形で帯で止めるタイプ。製作者のアイデアが問われる、紙袋ズッポリ(かぶり)タイプ。これには毛糸で鬼の髪の毛を作ることが欠かせない。そして、ちょっと特殊かもしれないが、鬼が大きく開けた口の部分をくり抜き、そこから顔を出すスタイルを見たことがある。子供達は色を塗って切り抜くだけであるが、これでは鬼に丸呑みされた子供が口の中から助けを求めているようだ。それなのに我が長男も含め、子供達は全員笑顔で集合写真におさまっていたりする。

 さて、自分の時は小2ぐらいの時だったと思うが、国語の単元で「泣いた赤鬼を読んで」というのを学んだ。赤鬼や青鬼の気持ちを話し合う学習だったと思う。子供に聞くと、道徳の時間でこの話は学んだようだ。忘れてしまっている人も含めて、ざっとこんな話である。心優しい、その赤鬼は人間と仲良くなりたくてしょうがないが、人間達は彼を恐れて彼の家を訪ねて来るようなことはしない。家の前にはこんな貼り紙を貼り出している。

 「心の優しい赤鬼の家です。お茶とお菓子を用意しています。どうぞ遊びに来て下さい。 赤鬼」。

 このことを青鬼に相談すると、青鬼は一計を案じ、青鬼が人里で暴れる。そこに万事打合せ通りに赤鬼が現れ、青鬼を退治し、村人達は赤鬼に感謝し、仲良くなるというものである。連日、赤鬼の家に村人が訪れるようになった。

 さらに話は感動の後日談へと続く。しばらくたって、赤鬼はあの事件以来、音信がとだえた青鬼のことが気になり、彼の家を訪ねてみた。そこには青鬼の姿はなく、家の入口に貼り紙がしてあった。

 「赤鬼へ 僕と君が仲良くしていると、君が人間と仲良く出来ないので、僕はこの村を離れます。 青鬼」。

 それを見て赤鬼は泣いたのである。なんと良い話だろう。

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