第1955話 ■動画コンテンツ資産

 パーフェクTV(現スカイパーフェクTV、通称スカパー)が始まったのが’97年のことで、その年の冬のボーナスで、MDコンポと一緒にパーフェクTVのチューナーとアンテナのセットを買った。そして、賃貸マンションの1Fのベランダにパラボラアンテナを上げて、視聴を開始した。そもそも、日本映画が好きな性分だったが、ここに来てこれらの懐かしいタイトルも視聴できるとあって、私の邦画熱は一気に加速した。

 最初はビデオテープに録りためていたが、やがてHDD経由のDVD。途中で、合併によりスカイパーフェクTVとなり、衛星環境も変わって、チャンネル数も増えた。このタイミングで、チューナーとパラボラアンテナを買い替えた。一方で、日本映画も新しい公開作品はほとんどがDVD化されるようになって、レンタルできるなど、邦画を視聴できる環境も随分と好転した。

 実は15年ほど前に自分が書き記したノートに、近未来の動画視聴環境に関する予想があった。まず最初に理想とする(DVD)レコーダーのスペックを書いていて、そこに録りためたコンテンツをレコーダー内でライブラリー化したり、宅内に複数のレコーダーがあろうと、録画・保存のためのHDDは一箇所に集約した動画サーバーが普及する。そして、インターネットを介しての動画のオンデマンド視聴も実現すると書いていた。

 但し、これらがいつ頃に実現しそうかまでは予想できていない。オンデマンド配信サービスは既に数年前から実現している。ただ、自分の予想はそのレベルではなく、レンタルビデオ(DVD)が一掃される状態までを予想した。借りるときは楽しいからまだ良いが、返しに行くのは結構面倒だ。加えて、「貸出中」なんてことを考えると、オンデマンド配信による視聴は便利なことだらけだ。

 一方、宅内でのライブラリー化やサーバーの普及は一般家庭に普及するような状態ではないが、とりあえず自分の家では実現できている。自宅にライブラリーがあれば、見たいときに見ることができる。映画などを好きなときに見ることができる。これほど快適な環境はない。

 ところが、である。今となってせっせと自分でライブラリー化することなく、もっと膨大なコンテンツをオンデマンドで視聴することなど造作もないわけで、わざわざ自分の手元に、しかも今となってはそれほど綺麗でない画質で保有することにほとんど意味がなくなってしまった。DVDは結構かさばる。時間や手間も相当掛かった。だが、それ故に今の快適なオンデマンド配信環境は一層嬉しい。

 さて、いっそのことオンデマンドサービスで視聴できるようなコンテンツを録画したDVDなど捨ててしまおう。その方が諸々踏ん切りがつく。その上で、DVD化されていなかったり、オンデマンド配信されることが今後もなさそうなものが、自分にとっての本当の宝なのだろう。私が好きな邦画のほとんどは古いものが多いため、こうして自分で録画するなどしておかなければ視聴が難しいものばかりだ。

 ちなみに持っている映画やドラマの数を数えてみたら、二千タイトル(ドラマは各話で1タイトル)以上あった。これにまだ未整理のDVDも数百枚規模で残っている。これらを徐々に整理していくつもりで、これらをのんびりと視聴することが老後の楽しみの1つではあるが、既に死ぬまでに視聴しないタイトルがあるのは間違いなかろう。

 ついでに書いておくと、放送時間をチェックして録画予約し、見逃したら(放送後にその放送に気が付いたら)この上なくイヤーな気持ちになるスカパーの放送スタイルはもはや自分の理想とする視聴スタイルからして、随分時代遅れなものになってしまった。この数年の間に。ただここでしか見られない邦画は貴重。

(秀)