第1977話 ■土曜日の宵

 以前から土曜日が好きだった。一週間の中で最も、日曜日ではなく、土曜日が好きだった。そもそもは休日でない、半ドンの頃がむしろ好きだったかもしれない。きっと、翌日に休日が控えていることの喜びのためだったと思う。日曜日は次がない感じがして、むしろあまり好きでなかったような気がする。

 何だか朝から嬉しい。給食がなく早帰りで、学校からの帰り道の解放感が気持ち良かった。家に帰って食事をし、「吉本新喜劇」を見てから出掛ける。宵になっては、テレビ番組が楽しみだった。「8時だョ!全員集合」、後には「オレたちひょうきん族」を見るようになった。そして、ちょっといつもより夜更かしした感じで、「明日の休みには何しようか?」と思いながら床につく。

 いざ週休2日となると、帰り道ということがなく、わざわざどこかに出掛けるところから始まる。そして、いつもそばにいるメンバーは家族ということになる。もちろんそんな生活スタイルも人生のあるタイミングでは重要と思う。しかしながら、子供の成長などでライフスタイルが変わってくると、週末にひとりぼっちということも多くなる。

 現在の私の生活は自宅で仕事をしているために、人と会うことがなければ、曜日などはほとんど関係ない。曜日の影響はテレビ番組くらいしかないが、録画して見ることが多いため、その影響もそれほどではない。自由である一方、生活にメリハリがない。多分、定年後の生活スタイルを先取りした感覚なのかもしれない。翌日がまた休みという感覚がずっと続く。もちろん、休みではないのだが。

 一人でもぷらりと出掛けて楽しめるようなパターンを幾つか用意しておく必要がありそうだ。あるいは自分の場合、土曜日の楽しかった時間を振り返るようなコンテンツを集めたサイトを始めたり、土曜の宵にでも仲間内で楽しく過ごせる集まりを考えてみようかと思ったりする。アイデアはあるのだが、後者のハードルは相当高そうだ。定年までには間に合わせたい。

(秀)