第1978話 ■煩わしさを売り払う

 部屋を片付けようと思うと、まずモノを減らすことを考えなければならない。「整理整頓」の「整理」とは、モノなどを減らすことらしい。モノを処分してから、適正に収納する必要があるようだ。「人員整理」、確かにその意味がわかりやすい言葉だ。

 これまで使っていた家電品などがちょっと具合悪くなったりして、いずれ時間があるときに確認してみようなどといったものや、これまで使っていたけども今は使わないもの、しかし、壊れているわけではないので、まだ使えなくはない。そんなものたちが我が家にはあふれていた。「いつかやらなければ!」というのは精神衛生上あまり良くない。煩わしさを引きずったままの状態が続く。

 使用しないものは一気に捨てるか売るなどすれば良いのだが、いわゆる「損切」ができないので、躊躇してしまう。しかし先日、試しに部屋にあるものの幾つかを捨てたり、売ったりしてみた。買い取りの金額には、あまりもの低額に驚いたが、面倒なのでその金額で引き取って貰った。

 例えばパソコンについては、もはや非力だったので何らかのアップグレードをしないといけない。しかし、その投資を行うには、コストとそれによって得られる成果のバランスが悪すぎて現実的でなかった。使わないままの状態でしまい込んでいるという煩わしさと、いずれ何とかしたいけど、面倒だなあという煩わしさ、これらをひっくるめて売り払った。金額の不満は多少あるけれど、その時はスッキリした。

 問題は、ずっとモノを減らしてばかりではなく、そのスペースに新たなモノが置かれる。長い目で見れば、モノは減少傾向にあるが、煩わしさとの決別の一方で、「損をした」という意識の副作用が生じる。多分自分の場合、この葛藤が整理整頓の過程で乗り越えなければならない大きな課題だと思った。

(秀)