第210話 ■リカちゃん

 当コラムの熱心な読者で、感想メールを頻繁に送ってくれる人に、「莉香さん」という女性がいる。Webに公開している他にもいろいろとメールのやり取りがあるが、しばしば私は彼女にからかわれている。先日もこんなことがあった。彼女が使用しているプロバイダーがサーバメンテナンスのため、「今晩はメールも使用できないから、私の部屋の電話番号を書きます」という内容のメールが届いた。もちろん、電話番号も書かれている。「気が向けば、お電話下さい。お待ちしてます」とも書かれていた。メールのタイトルは「ドキドキするけど・・・」というものだった。その日は一眠りしてからマシンを立ち上げたので、そのとき既に時刻は12時半頃だったと思う。まさか、この時刻に電話を掛けるわけにはいかないと思ったが、メールには「今日も遅くまで起きています」とも書かれていた。そうなると、鳴らない電話の横で、うたた寝をしている莉香さんの姿が浮かび(会ったことはないけど)、電話をしないことがかえって悪い気がして来た。電話回線が一つしかないのでとりあえず、インターネットを中止し、一旦回線を切断した。

 書かれていた電話番号は沖縄のものである。ダイヤルしながらも、いざ繋がったら何を話せば良いのか迷った。ダイヤルが終わると、ワンコールで着信。「もしもし、私リカよ、お電話ありがとう。・・・.」。違~う、違~う。電話に出たのは「香山リカ」。子供向けのテレフォンサービスである。「今日も遅くまで起きています」。当たり前じゃい。彼女は真夜中にもかかわらず、いつもの調子で淡々と喋っていた。子供は早く寝なさい。