第220話 ■金八先生の涙

 金八先生がエンディングに向けて、急展開を見せた。まず、前々回の放送で、生徒とのトラブルでケガを負い入院していた、桜中学元校長の大西さんが肺炎を患い、死亡した。そして、前回の放送では、仮面優等生であった「兼末健次郎」が母親をナイフで刺して、警察に捕まってしまった。

 彼の家庭環境は非常に複雑である。彼にはノイローゼ気味で引きこもりの症状を持つ、兄雄一郎がいる。父親は仕事優先で、雄一郎を避けている。母親は雄一郎の今の状況に対し、精神的に安定した状態にはない。そして、子供に過干渉である。家族はかつて優等生だった雄一郎のひきこもりを隠すために周りには「アメリカに留学している」などと繕っていた。まさに絵に描いたような家庭崩壊の環境と言える。健次郎が様々なトラブルを引き起こすのも、そんな家庭環境が原因だと、金八は気づいている。

 雄一郎がノイローゼ気味になったのも母親の過干渉が原因のようだ。雄一郎はこんな母親に反発して家を出ようとしたが、それを止めようとする母親とトラブルになり、雄一郎はナイフを取り出す。そこに健次郎が仲に入り、二人を止めようとするが、雄一郎のナイフを奪った母親は雄一郎に対し、「お母さんと一緒に死んで」と話す。健次郎は母親からナイフを取り上げようとして、三人がもみ合った挙げ句、三人は床に倒れ、健次郎が柄をつかんだナイフが母親に刺さってしまった。

 母親は救急車で病院に運ばれ、命は助かったが、健次郎は、全ての責任を自分とした書き置きを残して姿を消した雄一郎が自殺しはしないかと心配し、彼を探し回る。一方、救急車からの連絡で警察が傷害事件として動き出し、健次郎は容疑者として追われる。雄一郎と健次郎はかつてよく遊んだ水門の制御室で会い、警察に発見された。そこに金八っあんの登場である。健次郎を迎えに行った金八っあんは「助けてあげられなく、ごめんな」と彼にわびて、彼を背負い水門の制御室から階段を下りてくる。もちろん、お互いは泣いている。金八っあんもパトカーに乗せられた健次郎を一旦は見送るが、大森巡査の自転車を借りて、そのパトカーを追いかけるところで番組は終わった。

 次週の番組の予告で金八っあんは健次郎の不幸を喜ぶ生徒たちに訴えていた。「悪はどこにありますか?。あなた方の心の中にあるんです」と。いつもながら、金八さんの泣くシーンには心が締めつけられる。放送回数は最終回も含め、あと3回。感動の卒業式はどんな形でやってくるのだろうか?。