第23話 ■ピロートーク

 私は肩こり性だ。一日中デスクに座って、おまけに電磁波を浴び続けているからなのかは不明だが、慢性の肩こりである。体調が悪いときなどは決まって、肩こりの症状が現れ、風邪のひきかけなどは最も顕著な自覚症状となる。しかし、これが出たときには時既に遅く、後を追うように悪寒が走り、発熱への秒待ち状態となる。

 ときには、朝起きた時点から肩が痛い時がある。借金のせいで首が回らないのかもしれないが、「枕のせいか?」。そのとき使っていたのは、パイプ枕だった。固い枕でないと嫌なのと、ザクザクというパイプの感触が心地好く、パイプもたくさん入れて、高い状態で使用していた。横向きに寝た時には肩を圧迫しないように片方の辺にカーブが切ってあるのも好きだった。しかし、起き抜けから肩が凝っているというのは、「やはり枕が原因だろう」と枕をかえることにした。

 新しい枕を探す過程において幾つかの情報も入手した。そもそも痩せている人や首の長い人に高い枕はダメらしい。なるほど、寝た状態で枕を高くしたという想定で顎を引いてみると、肩の筋肉が引っ張られるのが確認できる。新しい枕は段違いの2つの山を持ったものである。頭をそのくぼみに置いて、高い方の山が首を支え、首への負担を柔げる仕組になっている。高さも少し低いものにした。けど、値段は5,000円と高かった。

 確かにこれで肩こりは多少は改善されたような気がする。しかし、これが新しい枕の効果によるものかは疑問である。何故なら、上を向いた状態で寝ている時間がほとんどないのだ。10分経てば、横を向き。更に10分でうつぶせになっている。そして、枕は頭を外れた状態で朝を迎えることがほとんどである。

 ピロートークとは、ピロー=枕、トーク=話、という2つの単語から構成され、ベッドで交わす「寝物語」という意味である。しかし、案の定、ピロートークは文字どおり、「枕の話」になってしまった。一人寝のせいか、寝物語は独り言でしかない。