第260話 ■マナーと正義はどこにある?

 JR東日本が携帯電話のマナー向上キャンペーンを開始してそろそろ一ヶ月になるかと思うが、効果の程は如何ばかりであろうか?。キャンペーン開始の背景には車内での携帯電話の使用を不快に思う利用者からの声があるはずだが、JRの今キャンペーンの言い分はどこか説得力に欠ける。「ペースメーカーに異常を来す恐れがありますので、電車内では携帯電話の電源をお切り下さい」というアナウンスが流れる。ところが、実際世の中にペースメーカーを使用する人がどのくらいの数いて、実際に携帯電話の電波がどれぐらい危険であるのかを知る人は少ない。被害者の報告も聞かないため、その影響度が想像できないのだ。もし、携帯電話の電波がその様な人々の生命に影響を与えるとするのであれば、そんなお願いモードのキャンペーンではなく、厚生省が率先して罰則規定を設けるまでもして対応に乗り出すはずである。

 ところがそんな動きはない。そうなると、「ペースメーカーに異常を来す」という説明の説得力はかなりトーンダウンしてしまう。また、事実関係がグレーなまま(、離れていれば本当はそれ程危険ではないにしろ)、電車内で携帯電話が鳴る度に、ペースメーカー利用者が(不必要に)ドキドキしている状態も放置できない。関係者は早急に携帯電話の安全性(または危険性)について調査を行い、その実態を明らかにすべきだ。今のような中途半端な状態は誰のためにも良くない。

 JRはペースメーカーなどのせいにせず、「他のお客様のご迷惑になります」と堂々とアナウンスすべきであろう。ここ暫くは少なくなったが、キャンペーン開始当初は携帯電話関連の車内広告が残っており、彼らがどこまで本気か疑ったりもした。

 それでも、キャンペーンの効果を評価すると、乗客のマナーも多少は向上しているようだ。電車内で不快な着メロ・着信音を聞く回数は減ったし、掛かって来た電話に長々と話をしている人は少なくなった。雰囲気というかプレッシャーがそうさせているのだろう。しかし、その雰囲気が善良な市民を勇気づけ、「おい君、電車内での携帯電話は迷惑だぞ」とやってしまうと、「うるせー!」、「なんだと」、「やるか?!」、とトラブルになるかもしれない。彼らのほとんどは確信犯である。だとすると、キャンペーンの効果など彼らには期待出来ない。自分に正義があるとしても正論通りにはいかない。これは喫煙をしている学生服の高校生を発見した場合と同様である。

 色々と考えてはみたが、なかなか良い改善提案は見つからない。もちろん私は電車内での携帯電話の使用には反対である。しかし、その一方でいちいち電源を切ることが非常に面倒なもの事実である。