第261話 ■キックボード

 近所でキックボードが流行っている。「今さら?!」と思う人もいるかもしれない。ひょっとすれば、もうちょっと前からも流行っていたかもしれないが、私がそれに気付いたのは最近のことである。対象は小学生の子供達である。昼間彼らがキックボードで近所を駆け回る姿を平日に目にすることはなく、ゴールデンウィークにようやくその姿を見るに至った次第である。ブームが伝えられた今年の初め頃は物不足のため、走っている姿を見ることなどほとんどなかったが、ものが潤沢になりだし値崩れするとともに子供達が(親の金かもしれないが)買い求めたようだ。

 キックボードの元祖は「Razor」というブランドで、最近は商標の問題から「JDRazor」と改めている。2ヶ月ほど前、インターネットのショッピングモールで検索した時、売価のほとんどは約15,000円を付けていた。別のブランドのキックボードもあり、それは10,000円程度であった。当時はそれぞれ品不足で、納期未定や1ヶ月待ちと表示されていた。それが今では「Razor」でさえ、物流は潤沢となり、8,000円程度でスーパーのチラシにも出ている。

 前述の通り、私の周りのキックボード人気は小学生が主役である。私も家から駅までの片道約1.5キロメートルの往復のために買おうかと思ったことがあるが、やめた。小学校では危険な遊びとして道路でのインラインスケートを禁じている。キックボードもいずれそうなるかもしれない。そんな折りに学区内をキックボードで駅に向かうPTA会長(今年は副会長から会長にアップグレードした)は宜しくないだろうと自粛した。そして折り畳んでも約2キログラムの荷物を担いでの電車通勤が苦痛なのも、もう1つの理由となった。

 子供の友達にキックボードを親にねだっている少年がいる。そして、「誕生日に買ってもらえる」と、了解を取りつけたらしい。「で、君の誕生日はいつなの?」。「12月」。彼が颯爽と近所をキックボードで走り抜ける日はやって来るのだろうか?。