第273話 ■ロケ地・幕張編

 幕張地区(千葉県千葉市美浜区)の風景がテレビで映し出されることがしばしばある。この一帯は辺鄙なオフィス街のため、夜は人通りが絶えてしまうし、休日にはほとんど車も通らない。このため、休日には絶好のロケ地となる。CMやドラマの撮影などで使用されることが多い。なかでも住友ケミカルビルはここ数年多くのドラマのロケ地として使用されている。「ショムニ」、「お金がない!」、「Age35, 恋しくて」など。この他にも槇原敬之の「SPY」のプロモーションビデオでこのビルのエレベータが使われている。「ショムニ」にも出てくる吹き抜けエレベータである。

 「Age35,恋しくて」というのは中井貴一と瀬戸朝香主演の不倫を扱ったドラマで’96年4月から放送されていた。建物の玄関付近は確かにこのビルであるが、一旦オフィスに入ってしまうと、窓の向こうにはお台場の風景が見えている(実際には幕張からお台場は遠すぎて見えない)。それに中井は会社まで開通したばかりの「ゆりかもめ」で通っていた。「ゆりかもめ」では、やはりお台場近辺のオフィスということになる。かなりちぐはぐなこのロケ地の飛び具合がおもしろかった。「お金がない!」は’94年7月から放送された、織田裕二が損保会社の社員となって出世していくストーリーであった。聞いた話であるが、ビル内に大がかりなセットが用意されていたそうだ。まさにこのオンエアー中のある土曜日にこのビルの前を通りかかったところ、撮影中の織田裕二を目撃した。

 ご存知、「ショムニ」では満帆商事の社屋としてこのビルが使用されている。オフィス内の撮影はおそらく都内でのセット撮影だろうが、外観や江角マキコが脚立を持って闊歩するシーンをはじめ、吹き抜けのエレベータなどのシーンはこのビルで撮影が行われている。満帆商事は活気ある商社として多くの人が社内を歩いているが、平日の本当の姿は閑散としている。こんな裏事情の予備知識もドラマを楽しむ上では1つの要素だと思う。