第28話 ■ウルトラマンになれない少年

 裕太郎くん、当時4才の将来の夢は、地球防衛隊の隊員になることだった。しかし、その夢はその後たびたび入れ変わり、その年の幼稚園の誕生会では講堂の壇上で「大きくなったら、ミュー(ポケモン)になりたいです」と発表し、お父さんをがっかりさせた。しかし、その後1年間での彼の成長は著しく、次の年の誕生会では「お父さんのようになりたいです」と発言し、会場を感嘆の渦に巻き込むまでになった。

 さて、なぜ最初の夢が地球防衛隊か?、ということであるが、これには深い訳がある。普通の子供なら、「ウルトラマンになりたい」と思うことだろう。実は彼も最初はそう思っていた。しかし、本当は映画監督になりたかったが、どうすればなれるのか分からないまま、サラリーマンに甘んじている、彼の父親が彼の夢を砕いたのである。

「ウルトラマンのお父さんは誰だ?」

「ウルトラの父」

「うん、そうだね。けどお父さんはウルトラの父ではない。だからお前はウルトラマンにはなれないんだよ」