第288話 ■「おいしく召し上がれますように」

 ただいまの時刻、19:17。今日こそは何としてでも20:00までに亀有にたどり着きたいのだが、現在地点は都営地下鉄浅草線の車中、三田駅に停車中である。「あっ、動き出した」。亀有とはあの両さんの舞台である、東京都葛飾区亀有のことだ。電車の乗り次ぎにもよるが結構微妙な時間である。「あっ、新橋に着いた」。しばし、乗り換えのためにダッシュ。

 ただいまの時刻、19:30。東京駅を京浜東北線で通過。これでは明らかに間に合わない。昨日と同じパターンになってしまう。よし、作戦変更だ。御徒町で途中下車して目的を達成することにしよう。さて、私が何故こんなに急いでいるかをまだ明かしていないが、それを明かした途端にあまりもの大人げなさに、読者諸氏の失笑をかうことだろう。けど、そんなことは毎度のことなのでそろそろ種明かしをするとしよう。私の目的は「タコ焼き」である。「銀だこ」の。「あっ、御徒町に着いた」。ちょっと中断。

 ただいまの時刻、20:03。無事買い求めたタコ焼きは常磐線車中の網棚の上で揺れている。急げばもう一本早い電車にも間に合ったが、満員で押し潰されるよりはと思い、網棚が確保できるように一本遅らせた。御徒町での「銀だこ」はWebで地図を確認していたが、ちょっと迷子になってしまった。会社に電話してその地図を見てナビゲートしてもらおうかと思ったが、それでは明日からの私のあだ名がタコ焼きになってしまうやもしれない。そんなとき、ソースの匂いが鼻に飛び込んで来た。目的地発見。先客が5人並んでいる。御徒町で電車を降りてから念願のタコ焼きを手にするまでに約15分掛かった。「スタンプカード、お持ちですか?」という、お姉さんの問いかけに先客達は「いいえ」と繰り返している。どうやら私がもっとも常連のようだ(最近目覚めたばっかりだが)。

 あいにく「銀だこ」が何ものであるかをこのまま書き記すのが文量から難しくなった。この続きは明日にしよう。けど、結構知っている人は多いんじゃないかな?。それでは、「おいしく召し上がれますように」。