第297話 ■水筒

 PTAの仕事に携わるようになって、去年から小学校に出入りする機会が増えたが、学校の雰囲気というのは20数年前からほとんど変わっていない。まずこの事に驚いた。取りあげて変わったところを指摘するとなると、児童数が少なくなったこととコンピュータルームができたこと、それに給食が多少豪華になったことぐらいであろうか。ところで話変わって、水筒である。暑くなって来たため、親心としては学校に行く子供に水筒を持たせてやりたいと思うのであるが、子供が通う小学校では水筒の持ち込みが禁止されている。これまでにも何度か父兄からも話題になったようであるが、学校側は「我が校の水道水は安全です」と説明しているだけのようだ。

 ところが、である。冷水機のような洒落たものがあるはずもなく、水道の水を飲めというわけだ。仮にきれいな水であっても所詮は水道の水である。我が家は学校の近くにあるから同じ水だと思うが、浄水フィルターを通さなければ飲める水ではない。仮に水はきれいであっても、蛇口から落ちて来る水をすくう子供達の手がきれいだと限らない。安全性を考えればやはり自宅から持参した水筒が最も良い思う。来週校長と懇談会の席で会うので話題にしてみよう。

 しかし、ちょっと後ろめたいところがある。自分が子供のときには平気で水道の水をがぶ飲みしていたからではない。学校が安全だけを理由に拒否しているのであれば説得のしようがあるが、「ジュースを持って来る子がいるからです」と言われれば、反論できなくなってしまう。何故なら、私自身が20数年前に水筒にスプライトを入れて、学校に持ち込んでいたからである。初日はこっそり、ちびちびと自分だけで楽しんだ。2日目に得意気に数人の友達に飲ませてあげた。そして、3日目にその友達もジュースを持って来て、即日先生にバレ、ジュース禁止となってしまった。それでも水筒自体が禁止になるようなことはなかった。

 いつもこうである。私が何かしら悪いことを始めても私が見つかることはない。授業中に手紙を回していて、先生に見つかる奴はだいたい決まっている。しかし何故だろう、不思議と「お前には回してない(お前は読まなくて良い)」という奴で見つかることが多いんだなあ。皆さんも会社でこっそりとこのコラムを読むときはうまくやって欲しい。