第383話 ■楽曲分析

 最近は曲の歌詞をなかなか覚えられなくなった。かつて覚えた歌詞などは二十数年経とうとはっきり思い出せるのに、最近は思い出すどころか、覚えることもスムーズにはいかない。曲の長さもかつての1曲約3分という暗黙のルールが無くなったのか、4分後半や5分台の曲も多く、全体的に長くなっている。それが歌詞を覚えるのが困難になった理由ではなかろうが。

 曲の構成という観点から見てみれば、いきなりサビから始まったり、サビが何度か繰り返すうちにキーを変調するようなものが、(確かに以前からそんな曲も存在したが、)最近は増えた気がする。それに、以前は3番まで歌詞があったりしたが、最近はほとんどが3番などない。○番という言い方もあまりしなくなったし、二コーラス+サビの繰り返しというパターンが大勢を占めている。しかし、一コーラス目のAメロ→A’メロの線は結構守られている。 「Aメロ→A’メロ」というのは(いきなりサビの部分は除く)歌い出しの数小節が繰り返され、Bメロやサビへと展開される構成のことを指している。繰り返しではあるが、かたや同じメロディのくりかえしへ、かたやサビへのつながりと、最後の小節部分がちょっと違うのでA’と表現する。このパターンの例外を探し出すのは結構難しい。私が唯一思いついたのは渡辺真知子の「迷い道」である。

 そして、新たな構成の変化は二コーラス目のA’メロがない曲の登場。それに、Cメロ(仮称)とでも名付けようか、サビの繰り返しの間に登場する新たなフレーズを持った曲の登場である。これが終わるとギターソロへと流れることが多い。これら2つの特徴はミスチルの曲に多く見られる様な気がする。

 確かに歌詞を覚えるのは困難になったが、こんな感じで曲の構成が分かってしまうと、何度か聞けば練習などせずに歌詞を見ながらカラオケで歌うことはできる。ところがこのCメロの存在は結構くせもので、ここは聞き込んでおかないとメロディがずれたり、間の抜けたリズムでサビを繰り返すことにもなりかねない。概して、Cメロのある曲は難しい。