第395話 ■仲間意識と世代の壁

 最近は人と人のつながりが希薄で、とりわけ組織を通じてのつながりという点ではその傾向が強い気がする。卑近な例では会社の上司や同僚達と飲みに行くことが少なくなった。私が会社に入った当時(10年程前)には残業が一段落ついたあたりで上司の「これからみんな飲みに行くか?」というのがあった。テレビなんかで目にするあの雰囲気である。もちろん、その場にいた人はゾロゾロと上司にくっついて会社を後にし、会社近くの店へと向かう。「今日は遅いから30分で」と言われていても、だいたいは1時間コースである。不思議と飲みながら仕事の話などは出ない。そして、決まって同じ会社の別のグループが同じ様な構成で先に居たり、後からやって来たりしていた。

 ところが今は即日即決の飲み会などまずない。飲み会となるとあらかじめ一週間程前に幹事たる者がメールなどで出欠の確認を行う。それも「○○さんの送別会」などのイベントでないと集まらない。ちょうど私達の世代を境に、上司が部下を誘って飲みに行くのが減ったようだ。彼らは上司の誘いをストレートに断る。そのせいか、おじさん達は自分達の世代だけで仲良くやっているようだ。おかげで中途半端な我々の世代も上からのお誘いがかからなくなった。若い人には「上司と一緒に飲むのは面倒」という意見もあるだろうが、かと言って仕事が終わった後に若い者同士で飲みに出掛けている雰囲気もない。

 冒頭に書いた組織を通じた人と人との希薄になった話だが、新しいスタイルとしてその目的別に様々なグループを作るようになっている。飲みに行く仲間、趣味の仲間、etc…。かつては仲間は決まっていて様々なアトラクションもいつも同じメンバーだったはずなのに。嗜好が多様化し、専門化した結果か、それとも組織への帰属意識が弱まったせいか?。若い人に限った話ではない。ところで、これって、私の周りだけに限った現象かな?。