第421話 ■硬い紙

 コンビニから新製品のカップ麺を買って帰ると、妻が「それ、おいしくなかったよ」と言う。調理例の写真に惹かれて買ったにもかかわらず、こんな物言いをされては心穏やかではないが、彼女が「うまい」と言って、まずかったことは何度もあるが、「おいしくない」と言って、うまかった例はない。案の定、そのカップ麺は私の口に合わなかった。

 たとえば、あなた(男性)が「洗剤を買って来て」とおつかいを頼まれたとしよう。具体的な商品名の指定がある場合は良いのだが、それを聞かずにスーパーに出かけたとする。こんな場合、どの商品を選ぶかはほぼ2つに分類されると思う。1つはテレビで盛んに宣伝されているメジャーな商品。そしてもう1つはそのときの特売品。あまり中途半端な価格の知らない商品を選ぶことは少ない。しかし、主婦層などに支持されている商品がそうでないケースが多々ある。洗剤の場合は、すすぎの際の泡切れが実質的な最大のポイントと聞く。汚れ落ちはCMで盛んにPRされているが、泡切れがどうであるかとなると当事者でなければ分かるものではない。

 さて、妻にお遣いを頼まれた。お題は「トイレットペーパー」。店にはよく聞く商品名と、プライベートブランドと思える「特売品」が並んでいる。結構な価格差だ。ティッシュは箱を見るからいつも何を使っているか分かるが、トイレットペーパーとなると包装を目にする事が少ない。しばらく迷ったが、「たかだかトイレットペーパー」と割り切り、特売品を手にレジに向かった。見た目には柔らかそうに見えたし。ところが家に着くと、妻が「この紙、硬いよ」と言うではないか。案の定、その紙は硬かった。まだその紙は11ロールもある。私の尻はデリケートだ。いっそ、ウォシュレットでも付けようかな。