第44話 ■ナイアガラ

 最近はカップメンスタイルの方のPRが盛んであるが、個人的には「出前一丁」は袋面の方が好きである。この商品の魅力はやはり「ごまラー油」の風味に尽きる。ただ唯一の弱点は卵とあわないことである。袋面のラーメンの場合、鍋でこさえて、最後に卵を落としたりするが、出前一丁にはNGである。卵との組み合わせは、どちらかというと塩ラーメン系の方が良いようだ。

 今は出前坊やのアニメーションがCMに使われているが、かつては「あ~らよ、出前一丁」というアタックの入ったCMだった。そのアタック部分のメロディを作曲したのは大瀧詠一で、自ら声を出していた。彼の名前にピンとこない人のためのヒントとしては、ちょっと前のキムタクと松たかこのドラマ「ラブジェネレーション」の主題歌、「幸せな結末」を歌っていた人である。歌手の時は「大滝」、曲を作るときは「大瀧」となる。彼は随分昔、「ハッピーエンド」というバンドをやっていた。ドラマの主題歌は「ハッピーエンド」=「幸せな結末」という洒落であった。

 彼の曲を意識して聞いたのは「A LONG VACATION」というアルバムで、’81年のリリースだったと思う。しかし実はそれより以前からテレビでテレビCMの中で聞いていたのだ。出前一丁もその一つである。面白いことに彼のレコードには自分のCMソングだけ(そのほとんどは自演)、しかもほとんどが十秒前後の作品というものを集めたものが2枚ある。1枚目は’73年から4年間続いた、三矢サイダーのCM曲の他、出前一丁などなどが収録されている。ほとんど聞き覚えのある曲ばかりであった。2枚目は佐野元春、杉真理と一緒に資生堂のCM曲、「A面で恋をして」をリリースして、しばらくした頃に作られている。1枚目は持っているけど、後者は持っていない。

 ところで、このコラムのタイトルが何故「ナイアガラ」なのか分からない人のために説明すると、大きな滝=「ナイアガラ」、ということで名付けた、彼のレコードレーベルから頂戴したわけさ。