第460話 ■試供品

 最近、パソコンなどの使用による肩こり、眼精疲労、腰痛などを対象にしたビタミン錠剤やドリンク剤を目にする機会が増えた。テレビでもよくコマーシャルが流れている。代表的なものではアリナミンにリゲイン。このような症状にはビタミンBとEの摂取が必要らしい。

 そんなある日、インターネットで朝日新聞のサイトを見ていたら、バナー広告に「リゲイン@ 試供品プレゼント」と出ていた。リゲイン@とはドリンク剤の新製品で、そのドリンクの試供品を先着でプレゼントするというものだった。早速そのバナーをクリックすると、肩こりや眼精疲労に関するアンケートがあり、それに答えて応募するものであった。申込みを済ませて数日後、先着定員に洩れた旨のメールが届いた。先着順なら定員を越えた時点で応募を受け付けなくすれば良いようなものを、アンケートは回収して応募者に気を持たせるやり方に腹が立った。

 それから数日後、今度は「アリナミンEX」の試供品プレゼントのバナーを見つけた。内容はリゲインの時と同様、アンケートに答えてくれた人に先着(確か二万名)で試供品をプレゼントするというものである。懲りずに早速応募した。すると、今度は「当選おめでとうございます 試供品を送ります」というメールが届いた。偉いぞ、武田薬品。

 そして、先日その試供品が届いた。薄っぺらな茶封筒である。アリナミンEXというのは錠剤である。試供品プレゼントのサイトに出ていたビン入りのパッケージは、薬局やコマーシャルでも見た事がある。それなのに私の所に届いたのは封筒。しかも薄いやつ。確かに封筒の発送元は武田薬品になっている。封筒を開けると、中から小袋が三つ出て来た。その小袋には「試供品」の錠剤が三粒ずつ入っていた。

 おい、おい。確かに試供品には違いないけど、あのサイトで見たビン入りパッケージは何だったんだ?。「試供品三粒×三袋」と、どこかに書かれていたかもしれないが、そんなものはビン入りパッケージのインパクトのせいで見ちゃいない。要は薬局でくれる試供品と何ら変わらないものが届いたわけである。皮肉にも注意書には「症状について、一ヶ月ほど使用しても改善がみられない場合は、医師または薬剤師にご相談ください」と、ある。たかだか三日分の試供品でどれほどの症状の改善が期待できるのだろうか?。「偉いぞ」発言はもちろん撤回。あーっ、肩凝って来た。

(秀)