第471話 ■ザ・ベストテン

 この番組のすごいところは大きく2つ。ランキングが公平であること。そして、スタジオに来れない歌手のためにロケで中継を行っていたことである。ランキングが公正であることはあまりにも当たり前のことの様だが、これ以前にランキングの上位10曲だけに絞って、その歌手しか出さないテレビ番組は存在しなかった(はず)。それは従来までの芸能プロダクションとの関係などを重視して、曲に明確な指標に基づく順位付けを行うことはある種タブーでもあった。ベストテンはまず何よりもこのタブーに挑戦しようとする。そして、テレビに出ない歌手がランクインしても順位は決していじらないことを当初の企画書でも謳っている。番組の途中に「○○さんはおいでいただけません」と言って、両司会者が詫びるシーンはそのランキングがガチンコであることを裏付ける上で重要なパフォーマンスであった。番組のランキングはレコード売上が30%、有線放送のリクエスト回数が30%、TBS系列地方ラジオ局番組でのランキングが30%、それに番組宛のリクエスト枚数が40%で決定されていたと思う。

 そして、スタジオに来れない歌手を中継という形でテレビに出すのも画期的だった。ふつうの歌番組なら予めスケジュールをそれにあわせることができるが、ランクインするかどうか分からない状態で毎週木曜日のスケジュールを空けておくのはかなりリスクが大きい。これでは幾ら番組にステータスがあったとしても、欠席者が増え、番組の存続に大きな影響を与えてしまう。この「追っかけ」という中継スタイルはまさに逆転の発想というか、ランキングを重視し、出演者を維持し、生放送の番組としての要素を生かす上でも重要な手段だったと言える。あるときはコンサート会場、ある時はJRのホームからの中継というのもあった。生放送と言えば、労働基準法の制限で15歳以下のため出演できない歌手もいたねー(具体的な名前は忘れてしまったけれど)。

 時期的には家庭用ビデオが普及する以前であったため、ピンクレディーの振りを覚えるために熱心に見た人も多かったはず。また、金曜日の学校での話題でもあったので、クラスのほとんどが番組を見ていたはずである。というわけで、今週はかつての歌番組を振り返ってみたい。明日はあれかな?。

(秀)