第620話 ■コスモスポーツ

 さて、クイズ。「東京ディズニーランド、新東京国際空港、東京モーターショー」、この3つに共通することは?。答えは「東京を名乗っておきながら、その場所が千葉県である」ことだ。その中でも、東京モーターショーは現在幕張メッセで開催されているが、かつては都内で行われていたので許そう。十数年前までは晴海の国際見本市会場で行われていた。その前の会場は日比谷公園だったし。第35回東京モーターショーが明日から始まる。一般公開はさらに翌日。

 かつてマツダがロータリーエンジンを載せたコスモスポーツという車を開発し、販売した。エンジンのみならず、デザインにおいても二人乗りの平べったいデザインで、当時としては斬新、それ故に、「帰って来たウルトラマン」でMAT(Monster Attack Team:地球防衛軍、ウルトラ警備隊に続く、舞台となる組織名)での車「MATビハイクル」として使用された。また、実社会でも高速機動隊のパトカーとして使用されたりした。

 さて、このコスモスポーツの試作車を東京モーターショーに出展するときの話。第11回だから昭和39年になる。当時の会場は晴海。このとき当時の松田恒次社長自らがハンドルを握り、広島から車を乗りつけ、また広島まで帰ったそうだ(もう一人、開発担当者あたりが同乗していたらしいが)。トヨタや日産の社長がこんなことをすることはまずないだろう。普通だったら周りが止めるだろうし。社員の士気高揚&世間への話題作りとしては実に見事なパフォーマンスだと思う。かつての映画「社長シリーズ」の森繁久彌の様な社長が加東大介や小林桂樹などの様な周りの制止を振り切って、コスモスポーツで上京する、そんな絵が私の頭には浮かんで来る。

(秀)