第674話 ■幸作の危篤

 今回の金八先生は以前(第611話参照)も報告したとおり、かなりシリアスで過酷な設定となっている。かつてのシリーズ初期のような、エンディングごとの心温まる安堵感や青少年の言動から受けるすがすがしさなど到底味わえない。特に今回は長男幸作の病気も加わり、公私共に金八っつあんは疲弊し続けている。

 先日の回の放送で、幸作の病状に危険な状態が現れた。年末年始に掛けて一時帰宅が認められていた彼が肺炎を起こし昏睡状態となって、三日三晩生死の境をさまよった。「何も今のタイミングで死ぬはずはないだろう」、しかも、「これはドラマだから、幸作が死んでも彼が実際に死ぬわけじゃないし」と、頭の中で分かりきっていながらも、佳境では私も思わず涙が湧いてきた。案の定、彼は持ち直した。

 兼末健次郎は幸作のことを最も心配している親友である。危篤に陥った幸作のために、彼は頭を丸めた。幸作も抗癌剤の副作用で頭髪の脱毛がひどく、既に坊主頭にしている。そんな彼にやってあげられる唯一のこととして、同じように頭を丸め、「一人で(病気と)戦っているんじゃない」、という応援の意味である。彼のその行動にかつての3Bクラスメイトも感化され、10人ほどが同じように頭を丸め、病状が回復した幸作を見舞った。そんな旧友の姿を見て、幸作は涙を流す。金八さんも言葉なく、ただ頭を下げるばかりだ。次のシーンでは金八さんも頭を丸めるのか、と思ったが、それは深読みすぎだった。

 職員室で朝の10分間読書の存続をめぐり、校長と丁々発止。校長からの来年度の異動をにおわす恫喝にも屈せず、決裂。一難去って、また一難。言い忘れたが、この日の冒頭は火事現場から教え子を助けだすところから始まった。公私ともにこんなにトラブルが多い人生に絶えられる人間がいるのか?、という疑問は尽きないが、来週もまた新たな災難が彼を襲うらしい。

(秀)