第74話 ■ラジオ体操

 夏休みに規則正しい生活を送ろうと、連日ラジオ体操に通っている。今日で7日、ついに期間中皆勤した。何もそれによって得るものはないかもしれないが、始めたからにはそう易々とやめるわけにはいかない。コラムの執筆にどこか似ている。ラジオ体操と侮ってはいけない。運動量は多くないが、普段使用しない筋肉を使っていたりする。

 朝から校庭に集まって来た顔ぶれは、子供を除くと老人がほとんどで、朝から会場に来ているサラリーマンは私一人ぐらいである。あとは主催である子供会役員のお母さん達である。その中でひときわ張り切っているのは市会議員のオヤジであった。自分が子供の頃は、自営業のオヤジというのが結構多く、町内のイベントとなると決まって姿を現す名物オヤジがいたりした。ネクタイをして出勤する人も少なく、おじさん達が元気な町だった。それがサラリーマン世帯が多いところとなるとおばさんが元気な町になるようだ。

 ラジオ体操のレコーディング状況を想像してみて欲しい。あるいは放送開始当時の放送の様子でも良い。スタジオには1台のピアノ。それにあわせて例のナレーションを入れていくのである。ビジュアルとして思い浮かべると何とも笑えてしまう。そして、意外にも毎朝の放送はライブであった。掛け声はもちろんであるが、ピアノも生演奏だった。放送終了間際に「担当は○○。ピアノは浜、でお送りしました」と言っていた。毎日どんなピアノを持って巡回しているんだろうか?。近くに来た際には是非駆けつけたい。

 それにしても巡回放送の人は土日もなく毎日大変だな、と思っていたが、4日目に会場が四国から北海道に大幅移動したと同時にアナウンサーが別の人に替っていた。おまけにそのアナウンサーは「今日の会場、北海道○○町は私の出身地でもあります」と、ラジオの前の人にはどうでも良いようなことまで話していたが、地元でのラジオ体操フィーバーは一層加熱したことだろう。