第1863話 ■改めるに遅きはないが、こっそりすぎる

 私もよく、誤字・脱字を日常的に生み出している。リリースする前に何度か読み返せば良さそうなものだが、根がせっかちなもんで、なかなかそうもいかない。その上、一旦気になりだすと、急に臆病風に吹かれて、メールでさえ送信ボタンが押せなくなってしまう。「後はご愛嬌!」と五十のオヤジには似合わないおまじないを唱えながら、えいっ!と送信ボタンを押すしかない。

 所詮、自分がリリースする文章なんぞ、それほど多くの人が読んでいるわけでもないので、後からこっそり直してしまうこともしばしば。しかし、気が付いている人がいそうなものだが、意外に教えてくれる人は少ない。

 私の場合、逆に他人の文章を校正するときなんか、すぐに変な箇所を見つけてしまう。誤字脱字に誤変換などなど。もちろん、変な日本語のチェックも容赦しない。あまりものその勢いに、「その気になれば、間違っている箇所がブリンク(点滅)して見えてくる」と、うそぶいたこともある。

 さて、新聞や雑誌となるとこの校正も相当大変なんだと思う。一方で、新聞社のWebサイトは新聞社といえども、このあたりが複数人でチェックしているのかどうか、元原稿の校正はされているのだろうけど、実際にWebサイトのデータにするにあたって、一部はキーボードを叩くのだろう。そしてその部分のチェックが甘く、リリースされているような気がする。

 例えば先日の某地方紙のWebサイトに「2016 衆院選」という見出しが出ていた。Webサイトの仕事をしている人がニュース全体に詳しい必要はないだろうが、今やっている選挙が果たしてどっちかくらいは、ちゃんと分かっていないと、と思う(「参院選」が正しい)。コピペの直し忘れか?。そしてさっき(原稿執筆時点)は朝日新聞のトップページで「藤原寛美」という表記があった。もちろん、「藤山寛美」が正しい。

 さっきの2つ例はすかさず、そのサイト内の問い合わせフォームからメッセージを送ったら、しばらく後にその内容はこっそりと修正されていた。ただ、「ありがとうございました」とすら、返事も来ない。ラジオ番組宛に言葉の誤用の指摘をしたこともあったけど、これは無視され、間違った日本語がポッドキャストで、しばらく流れていた。どうやらメディアはそんな文化らしい。

(秀)