第2010話 ■同窓会に行かない人へ

 2年前に行なった中学校の同期会の二次会で、主催者としての挨拶。「みなさんは、会いたい人に会えましたか?。僕は会えませんでした」と、酔った勢いとウケ狙いでこんなことを喋った。一瞬の間があって「誰?、誰?」とちょっと会場がざわついた。

 自分の同窓会(同期会)だけでなく、仕事として他の学校の同窓会に接することも増え、ある程度傾向が読めるようになった。ざっくりだが、連絡先が分かるのが卒業生数の約7割。その中の約4割が会に参加してくれる。よって、出席者の目標は卒業生数の約3割というのがリアルな数字となる。もちろん、これまでも同期会などを繰り返し開催し、実績のあるところはもっと数字が良い。

 しかしながら、同期会でもクラス会でも過半数の出席が得られることはまずありえない。同窓会に行かない人の方が多いのだ。理由は様々だろうが、優先順位による意識の違いが最も大きな要因だと私は推測している。「良い思い出がないし、むしろ会いたくない」、という人も確かにいるが、多くの人は「忙しい」と言うし、さらに多くの人は返事すらしてくれない。

 欠席でも返事をしてくれた人は、それだけでも有り難い。特に理由は聞かないことにしている。その理由が本当でないのでは、と思っている。理由を聞いて、それを解決するような応酬をしても、またきっと次の理由を言い出すと思っているから。要は「行きたくない」という感情を差し障りなく「忙しい」とカムフラージュしているのだろうから、そこから先には踏み込まないようにしている。お互い、いい歳をした大人同士だ。別に幹事をやるわけで無いのなら、「忙しい」と言うほどのことは無いはずだとも思っている。

 「格好悪くって行けない」という気持ちは分かる。外見の事もあれば、収入などの面でのこともある。または家族の状況も。「格好がつくくらいなら出席したい」と思ってくれているだけでも嬉しい。しかし、周りはそれほどそのことを気にしてはいない。歳を取るにつれ、そんなことにこだわっている必要も次第になくなる。

 予定はないが、自分がいずれ郷里に戻った際に、誰も友達がいない状況ではあまりにも寂しすぎるからと、小学校、中学校での同期会を始めた。個々に再会ができて、それ以来連絡をとりあうようになったという話を聞くと幹事冥利に尽きる。「忙しい」と言う言葉は、同窓会に限らず、様々なチャンスをみすみす逃してしまう魔の言葉だと思う。出たら出たで、きっと楽しい思い出ができるはず。

(秀)