第2011話 ■献本プロジェクト

 自分が中高生の頃にもっとやっておけば良かったと、今更ながら思うことの一つは「もっと本を読んでおくべきだった」ということだ。今となって、たくさんの本を読むようになっているが、当時はほとんど本を読むことがなかった。その後、幸いにも読書する習慣は身に付いたが、その頃に読んでおきたかった本というのが幾つもある。

 私が理事として関わっている某都立高校同窓会の母校(私はこの学校の卒業生ではない)で、今週末に文化祭が行われる。このとき、同窓会では卒業生や保護者からの献本を受け付ける。学校の図書室の蔵書を増やすためのプロジェクトである。お金を渡して「これで良い本を買って下さい」と言うのは簡単だが、思いがこもっていない。「自分が高校生当時に読んで感動した本」、「最近読んだけど、できれば高校生当時に読んでいたかった」という本を先輩として集め、在校生に読んで欲しいという趣旨だ。

 献本してもらった本をそのまま高校の図書室の蔵書にするわけにはいかず、やや煩雑な手続きがあるらしいが、本好きならそんなことなど厭わない。仕分けの作業の傍ら、新たな本との出会いへの期待もある。中には蔵書に向かない本を持ってくる人もいるだろう。そんな場合は「業者に買取を依頼して、換金した金を寄付するか、別の本を買って献本する」旨を予告している。単にお金を寄付するだけでなく、活動の趣旨や内容がわかりやすく、目に見えるというのもポイントだ。参加(献本)する側も思いを込めて手軽に協力できる。

 自分も書棚から二十冊あまりの本を持っていくためにバッグに詰め込んだ。本当はもっとたくさん対象になりそうな本があったのだが、この企画が持ち上がる前に、背表紙を切って、スキャナーで読み込んでPDFファイルにしてしまっていたのでしょうがない。換金した金で購入する際の本のリストにでも加えておこう。活動の最後には集まって実際に蔵書化できた本のリストや写真、プロジェクトメンバーや献本協力者からの思いを取りまとめ、それらを冊子にして、在校生に配布する予定。これを毎年繰り返す。

 さて、実際にどれほどの本が集まるのか分からないが、繰り返しの活動が重要かと。活動が認知され、次第に大きな活動となることに期待。

(秀)