第2016話 ■一斉休校とマインドチェック

 政府が新型コロナウイルスの感染防止策として、全国の小中高校、特別支援学校の臨時休校を要請した。前代未聞の対応に原稿を書かずにいられない。この施策の是非、タイミングについては、それを判断した人やその周辺のスタッフに比べると判断に資する情報が足りないので、特に申し上げることはできない。おそらく世の人々の多くもそうだと思う。

 それに対して、街の反応に疑問を感じた。子供たちが学校に行かずに家にいるときの対応への不満の声が多数挙がっている。それは十分承知している。「通知表をどうするか?」なんて些末なことはもはやどうでも良い。それでも、もしもの事態に備えて、手を打たないわけにはいかなった判断である。「後手後手」とこれまで言われてきたことへの先走りと言われようとも、政府がその責任において発したことである。パンデミックになってからでは、この規模の混乱ではおさまらない。まずは子供たちを守らないといけない。

 街頭インタビューで不安や不満を口にしている人々について、昼間から着飾って街に出歩いているようなマダムの声にリアリティーはない。また、昔風の言い方によればキャリアウーマンとでも言うような、おそらく大企業で働いている風の共働きの女性にも、そこまでの経済的な危機はなかろう。子供か仕事の択一であれば、きっと子供を選ぶだろう。一方、非正規雇用、さらにシングルマザーとなると厳しいだろう。至急の対策が必須だ。

 不満を言うよりも先に、「どうしたらそれが可能になるのか?」という発想が必要だ。身近なところでは、夫婦で休暇のやりくりをする、会社に休暇を取りやすくできるように働きかける、あるいはテレワークの実施策の検討とか。労働組合も頑張れ。さしずめ、給食に代わる、子供たちの昼食のことが気になる。何とかみんなで知恵を出さないといけない。PTAも今こそその存在意義を示してほしい。

 具体的な対策やアイデアはこれから出てくるだろうが、まずは我々のマインドが試されているように思える。不満を言う前に、「どうすればそれができるか?」という思考にならないといけない。そうやってこれまで私たちの祖先は長い数百万年の時間の中を生き抜いてきたのだから。

 本稿の趣旨は、「休校を支持するからみんなで頑張ろう」ではない。如何なる状況にも前向きに知恵を出すことの必要性を訴えるものだ。施策の是非を論じている段階ではない。誤解なきように。不満を言っているだけでは改善されない。

(秀)