コラムのデパート 秀コラム

第1127話 ■マスコミ対策費

 スケープゴート、という言葉がある。身代わり、いけにえのことだが、まさに今の森ビルの自動回転ドアの事件がこれに当てはまっているような気がする。誤解されては困るのであらかじめ断っておくが、あの事件は非常に痛ましい事故で被害者の遺族のことを我が身において考えれば、居たたまれない。

 しかし、そのつるし上げがマスコミの手によって行われている点が非常に不愉快である。駅売りのタブロイド紙では「森ビル 経営的危機」なんて書かれている。そんなことだったら、三菱ふそう自動車なんかとっくに潰れていなければおかしい。どちらかと言えば、三菱の方がリコール隠しまでやっていたからには、より悪質だと思う。

 では何故、三菱は森ビルに比べると扱いがまだ穏便なのか?、という点である。財閥系だから?。それも多少あるだろう。しかし、今回の例の決定的な違いは、マスコミに対するスポンサー企業かどうか、という点にある。三菱ふそうのCMは見たことないが、三菱自動車のCMは毎日のように流れている。電機もあれば、銀行もある。

 一方、森ビルはマスコミを通じて宣伝を流すような会社ではない。確かにテレビのレポートなどで宣伝のようなものを見ることはあるが、あれはパブリィシティであって、金を払ってのことではなかろう。森ビルという会社にも宣伝・広告費はあるだろうが、それはビルのフロア案内みたいな印刷物程度のためではなかろうか?。

 マスコミに支払っている宣伝費というのは一種の用心棒代であり、リスク回避のための保険みたいなものである。ヤフーBBから顧客情報が洩れようとも、広末涼子が画面で「BBしよう」と言えば、その局では扱わなくなる。最近、このテレビCMが増えていないか?。ニュース番組のスポットCM料が高いのはそういう意味だったりもする。

(秀)

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